Microsoftは、Windows 7の無料サポート終了まで1年強を残すだけとなったこの時期になって、興味深い節目を迎えた。大企業で使用されているすべてのWindowsデバイスのうち、Windows 10が動作しているデバイスが半数を超えたという。
この数字が明らかになったのは、同社が最近開催したITプロフェッショナル向けカンファレンス「Ignite」でのことだ。米国時間10月24日に開催された同社の2019会計年度第1四半期の業績報告の電話会議でも、最高経営責任者(CEO)Satya Nadella氏が、アナリストやプレスに対して明確に「商用デバイスインストールベースの半数以上がWindows 10を使用している」と述べている。
Igniteの後で確認の問い合わせを行ったところ、広報担当者から「Microsoftが持っているデータによれば、大企業で使用されているWindows 10のデバイスは、それ以前のバージョンのWindowsよりも多くなっている」という回答を得た。
この数字と、Microsoftが法人で利用しているWindows 10デバイスの台数としてよく引用している2億台という数字はどういう関係にあるのだろうか。実際には、これらの数字に直接的な関連はない。これは、2億台という数字に中小企業顧客のデバイスが含まれているためだ。
しかし、この期に及んで、大企業に古いバージョンのWindowsが50%近く残っているというのは気がかりだ。
確かに、ボリュームライセンスを利用している場合、2020年1月14日に設定されているWindows 7のサポート終了期限を迎えても、「ソフトウェアアシュアランス」や有償の延長サポート「Exctended Secuirty Update」を利用すれば、セキュリティアップデートを受け続けることができる。このことを考えれば、この数字は心配するようなものではないと思えるかもしれない。
MicrosoftがWindows 7をリリースしたのは2009年7月のことだ。その後、多くのエンタープライズ顧客がなかなかWindows 7を導入しない状態が続き、中にはWindows 10がリリースされた2015年7月の数カ月前に、ようやくWindows 7が導入されたようなケースもあった。
Microsoftの経営陣は、同社がWindowsの企業からクラウドの企業に変わったと印象づけようとしているが、Windowsは依然としてMicrosoftの事業にとって大きな柱の1つだ。同社は、「モアパーソナルコンピューティング」部門の売上高のうち、どれだけがWindowsの売上かを明らかにしていない。この部門には、ゲーム事業や「Surface」などのデバイス事業、広告事業なども含まれており、2019会計年度第1四半期の売上高は107億ドルだった。また「プロダクティビティ&ビジネスプロセス」部門の売上高は98億ドル、「インテリジェントクラウド」部門は86億ドルだった。
Microsoftのある幹部役員は最近、同社のクラウド事業は年間総売上高の4分の1弱を占めていると発言している。役員がクラウドについて多くを語る一方、Windowsについてはあまり触れていないことを考えると、たった4分の1かと驚く人も多いに違いない。
最近行われた業績発表でも、これまでどおり同社のさまざまな「法人向けクラウド」(「Azure」、法人向け「Office 365」「Dynamics 365」、「LinkedIn」の法人向けサービスなど)が大々的に取り上げられた。2019会計年度第1四半期の法人向けクラウド事業の売上高は85億ドルに達したという。
ここで、あるMicrosoftの役員が挙げた興味深い数字を紹介しておきたい。「Dynamics ERP/CRM」は今会計年度中に売上高が25億ドルに達する見込みであり、その半分が「Dynamics 365」の売り上げだというのだ。これは逆に言えば、売り上げの残りはオンプレミス版のDynamicsが占めているということだろう。
今四半期、法人向けOffice 365の登録ユーザーは1億5500人に達し、一般向けOffice 365の登録ユーザーは3250万人になったという。またゲーム事業の売上高は、「Game Pass」「Xbox Live」およびハードウェア販売が好調だったことを受けて、ホリデイシーズンを含む四半期を前にして、前年比44%増となった。サーバ製品も引き続き大きな伸びを見せている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。