協和エクシオは3月1日、ライブ映像をFOMA端末と回線を使ってリアルタイムに伝送できる「モバイル映像伝送システム」を開発し販売を開始すると発表した。
リアルタイムの映像を伝送するには、これまではテレビ中継車のような大きな装備を使っていたが、FOMAの圏内であればモバイル映像伝送システムを使っていつでもどこでも低コストで手軽に動画の中継や配信ができる。
システムの核となるのは、新開発のポータブル映像電送装置「モバイル EX」で、単体の税込み価格は49万8000円。64kbpsのFOMAカードを2枚挿入したモバイル EXに撮影用のカメラをつなげば、64kbpsもしくは128kbpsによる回線交換でMPEG4方式の映像を伝送できる。映像は、モバイル EXに内蔵された専用のエンコーダとデコーダを使って、毎秒1〜10フレーム(ユーザーが設定)のリアルタイム伝送が可能だ。また、RS-232cの拡張端子を備え、ズームなどカメラの遠隔コントロールにも対応している。
遠隔地のカメラの映像を別の場所で受信してモニターできるシステムの最小構成(下図の上)としては、モバイル EX送信用、受信用1台ずつをセットにして99万6000円からとなっている。しかし、この場合は必要なカメラやFOMAカード、テレビ、ヘッドセット、マイク、FOMA回線費用は含まれないので別途用意しなければならない。また、蓄積サーバーを使って受信映像を保存できる映像蓄積モデル(下図の下)は170万円からとなっている。この場合もカメラとFOMAカード、FOMA回線費用、ISND回線費用などは別途負担しなければならない。
同社のITソリューション事業本部ユビキタス本部Uソリューション部 福井信一郎氏は「FOMAのテレビ電話機能でも映像の送受信はできるが、それに比べると映像の質が違う。特に高速移動時にはっきり差がでる」と述べたうえで、「救急車からの高速画像伝送の公開実験をはじめとする各種実証実験を1年間繰り返して改良を重ねた結果、今回正式に発売する」と即現場に利用できることをアピールした。
具体的な適用分野としては、災害現場やイベントの模様、警察、消防車両の車載カメラ映像、工事現場や踏切での監視、テレビ局の簡易映像配信などを挙げた。
このほか、FOMA以外の通信方式に関して福井氏は「今回はFOMAを使っているが、KDDIのデータ通信仕様であるEV-DOでも実験は行っているがまだ製品レベルには達していない」と述べた。また、「パケット通信については実験を重ねているが、カメラの遠隔操作が不安定な場合がある。さらに、パケット通信だとユーザーが通信費用の見込み額を算出しにくくなるデメリットもあるだろう」とした。