「公正な競争を阻害せず」--FTCがIBMのPC事業売却を承認

John G. Spooner (CNET News.com)

2005-01-11 21:08

 IBMが、Lenovo GroupにPC事業を売却するうえでのハードルを克服した。そのハードルとは、米国の規制当局である。

 連邦取引委員会(FTC)は米国時間7日、IBMが昨年12月に発表したLenovoへのPC事業売却計画について検討した結果、これを承認することを決定したと発表した。米国では「Hart-Scott-Rodino Antitrust Improvements Act」によって、大規模な合併を行う企業は事前にFTCと司法省に届け出ることが義務付けられており、企業は自社の計画が競合他社に与える影響に関して情報を提出しなければならない。今回の審査は同法に基づいて行われたもので、FTCの認可が下されたことにより、IBMとLenovoの待機期間は終了する。

 今回の事業買収は、2002年5月のHewlett-Packard(HP)によるCompaq Computer買収以来の大型案件だ。Lenovoは今後、IBMがもっていた米国や欧州、アジア各国のリソースと、中国市場における自社の地位を利用しながら事業を展開していく方針だ。同社は、Dell、HPに次ぐ世界第3位のPCメーカーとなる。

 買収完了後は、LenovoがIBMのPC事業運営を引き継ぐ予定。IBMが規制当局に提出した資料によると、IBMのPC事業が過去数年間にわたって計上した損失額は10億ドルにものぼるという。買収は第2四半期に完了する予定。Lenovoは製品の製造と設計に関する責任を負うほか、「ThinkPad」をはじめとするIBMのPCブランド名を5年間利用できることになる。

 Lenovoは、ニューヨーク州アーモンクに本社を構える新会社を設立する予定。IBMは新生Lenovoの株式の18.9%を保有する。IBMは今回の事業売却により、サービスやソフトウェアなど、収益性の高い事業に専念できるようになる。Lenovoへの資本参加以外にも、IBMは自社の営業部隊をLenovoのPC販売にあてたり、顧客サポートを提供するなど、今後さまざまな方法で同社を支援する。

 Lenovoは今後も中国でのビジネスに重点的に取り組む方針だが、他の市場への拡大も計画している。例えば、同社はLenovoブランドのPCを米国市場で販売することなどを検討中だ。

 それでも買収完了までの間、IBMの既存の企業顧客を安心させるという点においては、Lenovoは引き続き難しい課題を抱えることになる。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]