SBC Communicationsが米国時間31日、AT&Tを160億ドルで買収する計画を発表した。同社はこれにより、全米の法人顧客に対する営業をてこいれし、新たな全米/国際ネットワークを獲得することになる。
また、この買収によって100年以上続いたAT&Tの独立にも終止符が打たれる。Ma Bellとして知られる同社は、1984年に独禁法規制当局により分割されたが、この時の生まれたのがSBCをはじめとするBaby Bells(地域電話会社各社)で、これらの各電話会社はローカルの電話サービスに特化する一方、AT&Tは長距離電話サービスを提供することになった。
SBCの会長兼最高経営責任者(CEO)、Edward Whitacre Jr.はアナリストとの電話会議のなかで、「合併後には、両社が単独で活動した場合よりも大きなリソースと大きな能力を持つことになるという点を力説したい」と語っている。
同氏によれば、今回の買収により、AT&Tの全米/国際ネットワークやそれに関する専門知識と、SBCの持つ市内交換サービス、ワイヤレス、ブロードバンドに関する強力なプラットフォームやスキルとが組み合わされることになるという。
今回の買収は、SBC/AT&Tなどの従来の有線通信プロバイダーと、携帯電話事業者の両方の業界で再編が進行していることを示すものといえる。SBCが一部出資する携帯電話事業者のCingular Wirelessは2004年後半、AT&T Wirelessを買収することで米国携帯電話市場のトップに躍り出た。またSprintも、主に企業に対応する携帯電話事業者のNextel Communications買収を進めている。これに対し、消費者保護団体では、選択肢が絞られてきたことで数年前から下がり続けてきた電話利用料金も徐々に上昇する可能性が高い、としている。
電話会社各社は、電話サービスの主要提供元としての役割を脅かしつつあったケーブルテレビ会社やIP電話会社と縄張り争いを繰り広げていた。同じ理由から、電話会社各社はワイヤレス通信市場への参入を検討したり、高速インターネット回線を提供するなど、市場を拡大するための方法を模索してきていた。
今回の買収は、来年前半に完了するとみられている。SBCによると、この買収によって2008年には利益成長が見込め、そのころには7年分以上の運転資金に相当する150億ドルの経費節減が成果として現れるという。この金額は、レイオフや重複施設の閉鎖、機器の処分によって達成できると見られている。
この買収に対する株式市場の反応は2つに分かれており、SBCの株式は1月31日午前の取引で15セント高の23.77セントまで上昇、一方AT&Tは69セント安の19.02ドルに値を下げている。
なお、合併後の舵取りについては、SBCのWhitacreが引き続き会長兼CEOを務め、一方AT&TのCEOであるDave Dormanは新会社の社長に就任すると見られている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。