InfoCardが導入されると、オンラインでの買い物のあり方が変わる。たとえば、ネットで書籍を購入する場合、オンライン書店は顧客ユーザーのPCにあるInfoCardアプリケーションに支払いを請求するpingを打つ。そして、ユーザーが支払いを認めると、その情報が該当する金融機関に送られる。この仕組みでは、書店側がユーザーのクレジットカード番号や口座番号などを知る必要がない。
Microsoftによると、InfoCardがうまく機能するためには、eコマースサイトのほか、クレジットカード会社や銀行などの各社でもこの技術を導入する必要があるという。
しかし、InfoCardの用途はオンラインでの支払いやウェブサイトへのログインに使うID情報の保管と提供だけにとどまらないと、Microsoftは説明する。また、Shewchukによると、InfoCardの最初のバージョンは、スマートカードが利用するx509証明など、ほかの認証技術もサポートするという。
関係者の予想では、InfoCardは来年出荷予定の次期Windows「Longhorn」に組み込まれることになるという。だが、MicrosoftのMichael Stephenson(Windows Serverグループディレクター)は、同社にはまだこの技術の具体的な投入計画はないと述べている。
Microsoftは6年前にPassportを発表した際、数千カ所のオンライン店舗やサービス業者が同システムを利用すると期待していた。Passportは、Microsoftの各種サービスと同じユーザー名/パスワードを使ってログインできるようにする技術だ。
Passportのセキュリティをハッカーが試したり、Microsoftが自社のデータベース上にユーザー情報を持つというアイデアを好まないプライバシー擁護団体が細かい調査を行うなどしたが、そうしたなかで市場の大半はPassportを拒絶した。eコマースサイトなどの潜在的なパートナーも、このアイデアには二の足を踏んだ。
米国や欧州の規制当局もその後MicrosoftとPassportを規制し、今日では主にMicrosoftが提供するサービス用のログインシステムとしてのみ利用されている。
ForresterResearchのアナリストJonathan Pennによると、InfoCardはPassportとは異なるという。
「彼らも経験から学んだ。InfoCardでは、ユーザーがすべてを管理するようになるはずだ」(Penn)
InfoCardはMicrosoftが掲げるID管理計画の一部となっている。先週カリフォルニア州サンフランシスコで開催されたDigital ID Worldカンファレンスでは、同社の幹部がこの「Identity Metasystem」について説明を行っていた。このアーキテクチャーはインターネット上に存在するさまざななID管理システムの上部に構築されるよう考えられている。
Identity Metasystemは、主要なID管理技術をすべてサポートすると同社は述べており、そのなかにはMicrosoftのライバルとなる各社の開発した技術--たとえば、Liberty Allianceの仕様を含むSecurity Assertions Markup Language(SAML)なども含まれることになるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ