Microsoftが、Windows用の新しいソフトウェアのプレビュー版をまもなく提供しようとしているが、このソフトウェアはインターネット上にあるさまざまなウェブページにログインする際の手間を省くことをねらったものだという。
Microsoftによると、同社は「InfoCard」(開発コード名)と呼ばれるこのソフトウェアの技術プレビュー版を、5月末までにリリースする計画だという。このソフトウェアには、デジタルIDの利用を簡単かつ安全にする他の技術も含まれると、Microsoftのセキュリティ担当上級幹部、Mike Nashは米国時間17日に説明した。
Nashがセキュリティ問題に関する月例ウェブキャストで述べたところによると、InfoCardのリリースはソフトウェア開発者向けのもので、提供を受けた人はこの技術についてのフィードバックを求められるという。Nashによると、MicrosoftはInfoCardの他にも複数の技術のプレビューリリースを計画しており、こうした技術によってインターネット上で利用されているさまざまなIDシステムが連動できるようになるとしている。
「今日、人々が直面している大きな課題の1つに、非常に多くのIDシステムが存在することが挙げられる」と、MicrosoftのJohn Shewchuk(分散システムグループ、アーキテクト)は先のウェブキャストのなかで語った。
これに関連して、MicrosoftとSun Microsystemsは先週、現在開発中の「シングルサインオン」ソフトウェアをデモンストレーションした。これは、従来別々の認証作業が必要だった複数のネットワークサービスを、1度ログインするだけで利用できるようにするソフトウェアだ。
InfoCardは、Microsoftが進めるさまざまな取り組みのなかでも、PCユーザーにとって最も目に付きやすい計画となるだろう。InfoCardは、オンラインコマースサイトなどで共有されるID情報を安全に保管するように考えられている。
こうした計画は、Microsoftが1999年に発表し、概ね失敗に終わったシングルサインオンサービス計画「Passport」をほうふつとさせる。Passportでは、ユーザー情報の管理をユーザー自身や取引先の企業ではなく、Microsoftが行う仕組みになっていたが、多くの人々がこの点に不満を抱いていた。しかしInfoCardは、この不満を解消し得る新たな試みだ。
Microsoftが、単なる話の段階から実際に開発中の製品の一部を共有する段階に移る上で、今回の開発者向けプレビューは重要なポイントとなる。
Microsoftによると、InfoCardには、ちょうど財布にクレジットカードが入っているように支払いの許可とそれに関する詳細情報が含まれているという。「InfoCardがあれば、エンドユーザーはさまざまな信用情報のなかから望みのものを簡単に選び出せる」(Shewchuk)