米SonicWALLは7月にも、中小規模事業所向けの同社のセキュリティ・アプライアンス「PRO 1260」に擬似ポートVLAN機能をソフトウェアで追加した新機種「PRO 1260 Enhanced」を国内出荷する。千葉県幕張で開催中の展示会「Interop Tokyo 2005」で出品した。価格は「PRO 1260(33万円)よりも10万円高い程度」(米SonicWALL)である。
PRO 1260と同Enhancedのハードウェアは共通で、ファイアウォール、VPNルータ、ウイルス/スパム対策ゲートウェイ、コンテンツ・フィルタリング・ゲートウェイなどの機能を1台にまとめた同社のセキュリティ・アプライアンスの1機種。ゲートウェイ機とスイッチング・ハブを合わせた製品で、高さ1Uのラックマウント大にクライアントPC接続用の物理ポートを24個搭載する。
PRO 1260 EnhancedではPRO 1260の物理ポートにセキュリティ機能を持たせた。24個ある物理ポートをそれぞれ任意のセグメントに所属するよう定義し、セグメントごとにIPフィルタリングなどのセキュリティを使い分ける運用を可能にした。つまり、擬似的なポートVLANを実現する。PRO 1260のソフトウェアをアップグレードすることによってPRO 1260 Enhancedになる。
SonicWALLの製品ラインアップは、遠隔拠点向けの卓上型のTZ Seriesと、TZ Seriesの性能を高めてラックマウント型とした本社向けのPRO Seriesで構成する。PRO 1260はPRO Seriesの最安価機種であり、位置付けは、セキュリティ・ゲートウェイとスイッチング・ハブを一体化して構成を簡素化し、別途スイッチを用意しなくても使えるようにしたというものである。
企業情報システムの主流は、PC、ネットワーク、セキュリティ、と流れてきた。PCの時代とネットワークの時代は、それぞれ企業の生産性の向上に寄与していた。米SonicWALL ワールドワイドマーケティング上級副社長のダグラス・ブロケット(Douglas M.Brockett)氏は、「セキュリティの時代に入り、セキュリティは生産性を下げるペナルティ要素となってしまっている」と指摘する。
PRO 1260 Enhancedが備える、使い勝手を意識したネットワーク構成の簡素化と擬似ポートVLANによる細かいアクセス制御はともに、同社の戦術を反映したものだ。「企業がセキュリティを導入することによって生じてしまうペナルティを、アクセス権限に基付くアクセス制御といったセキュリティの確保による生産性の向上によって打ち消す。情報システムの利用環境をパーソナライズ化する」(ダグラス・ブロケット氏)。
同社製品の市場シェアは、米SonicWALLによれば、エントリ機種のTZ Seriesが世界で20%、上位機種のPRO Seriesが世界で10%である。同社はPRO Seriesのシェアを20%まで上げられると考えている。国内では、「TZ SeriesからPRO Seriesへのリプレースも進むが、PRO Seriesを本社で導入した企業が遠隔拠点にTZ Seriesを導入するケースも多い」(米SonicWALL 在日代表カントリーディレクタの内山高夫氏)。
米SonicWALLでは国内ユーザーの需要を受け、6月1日に年額8万円で利用できるサポートセンターを開設した。なお、同社の国内1次販売代理店は、NTTアドバンステクノロジ、キヤノンシステムソリューションズ、ソフトバンクBB、丸紅ソリューションの4社である。