BI(Business Intelligence)ツール「SAS 9」を出荷するSAS Institute Japanが6月9日に開催した自社展示会「SAS Forum Tokyo 2005」。同展示会に合わせて来日した米SAS InstituteのInternational部門アジア太平洋地域副社長のフィリップ・ベニアック(Phillip Beniac)氏に、同社の製品戦略を聞いた。
--BI(ビジネス・インテリジェンス)とは何か。
1つの部屋に15人の人が集まっていたとする。そこで「BIとは何か」という質問をすると、おそらく20くらいの答えが返ってくるだろう。市場そのものが固まっていないからだ。関係者は自分に都合のよいように定義をする。こうした混沌とした状況の中、SASはBIの定義をする資格を持つ企業だ。30年以上BIの世界でビジネスをしてきているからだ。
多くの企業は、多くのデータ・ポイントからデータを収集し、どこかに格納し、簡単なクエリーや高度なクエリーをかけてレポートを作っている。このように、BIの対象は現在のモニタリングと過去の分析にとどまり、BIの仕事もクエリーとレポートに止まっていた。SASでは、今後何が起こるのか、どんなアクションがありえて、その結果はどうなるのか、を導く。
分かりやすく個人がモノを購入する例を挙げると、どんな製品があるのかをまず調べるだろう。友人や同僚に話を聞いたり、カタログを調べる。安いものが何で高いものが何で、何がどんな機能を持っているのか、など基本的なレポートを作成する。これが第1段階だ。
その後、今欲しいのはこんな機能だが、先のことを考えるとこんな機能が必要、という予測を立てる。将来を考えるということは、思考プロセスを構築する、すなわちインテリジェンスを作り出すということだ。アクションを起こすための情報を固めるということだ。こうしたプロセス全体を指してBIと呼ぶのである。
--インテリジェンスはどこへ向かうのか。
インテリジェンスを実装したフレームワークには、時系列で、(1)統合された技術の次元、(2)業種横断的・部門ごとの次元、(3)業種ごとの次元、以上3つの次元がある。インテリジェンスは、この順番で進化していく。
まずは、どのような企業のどのような立場の人にとっても重要な、普遍的な機能を提供する基本的なプラットフォームがある。この上に、財務など個々の部門ごとに特化した部門最適なインテリジェンスが存在しており、これは業種横断的なものだ。さらにこの上に、業種業界ごとのインテイジェンスが存在する。
SASのBIツールも、30年の歴史の中で、こうした発展を遂げてきた。顧客がどう使っているかを常時リサーチして、リサーチ結果を製品にフィードバックしてきた。現在では、業界ごとのインテリジェンスを製品に実装済みだ。
顧客の数は4万に上る。分布は、金融が全体の35%、製造が10.5%、医薬品が9%、通信が7%、大学・官公庁が14.5%、その他が20.5%、小売が3.5%である。こうした多種多様な業界ごとのベストプラクティスとスタンダードを抽出し、製品に反映している。