Sun MicrosystemsのCIOであるWilliam Vassは米国時間19日、CNET News.comに対し、同社のIT部門が「Sun Grid」上でERPアプリケーションを稼働させ、先進的なユーティリティコンピューティングサービスの試用を開始したことを明らかにした。ユーザーがこのグリッドを利用できるようになるのは、9月に入ってからだという。
2月に始動し、およそ100社の企業で検証が進められているSun Gridは、電気や水、ガスといった公共サービスの提供形態を模した、コンピューティングサービスである。
グリッドサービスの小売り販売の第一段階として、Sunは、処理能力およびストレージ機能をインターネット経由で提供し、1CPU当たりの毎時使用料金を1ドルに設定して、利用時払い方式を導入する。Sunは同サービスを提供するため、4カ所のデータセンターを開設した。
ハードウェアベースのサービスはまだ限定的な利用しかできないが、Sunではそうしたサービスと併用するソフトウェアベースのサービスをすでに開発している。同社は特に、デスクトップおよびバックオフィスビジネスアプリケーション向けのホスティングサービスに力を入れている。またVassによると、Sunはグリッドサービスのさらなる進化を目指して、プロフェッショナルサービスを提供する企業やERPベンダーとの提携を強化しようとしているという。
Sun Gridは、業績不振に陥っているSunの収益を上げるための新たな取り組みの1つだ。Sunの幹部は、同社はアウトソーシング事業に長期間かかわるつもりはなく、むしろ、データセンターサービスプロバイダーにハードウェア/ソフトウェアを販売し、その販売先が、処理能力やソフトウェアサービスのホスティングを行っていくようにしたいと述べている。
IlluminataのアナリストGordon Haffは、「一般的にサービスプロバイダーは、提供すれば利用してもらえるだろうという希望的観測の下にグリッドインフラストラクチャを構築するといった、投機的な試みにはほとんど興味を持っていない」と指摘し、「Sunは、グリッドの小売りには十分なビジネスチャンスが存在していることを示すよう、求められている」と話した。
企業ユーザーの間では、グリッドコンピューティング技術を利用する動きが次第に大きくなってきている。グリッドコンピューティングは、多数のコンピュータで処理作業を効率的に分担し、使用されていない状態のコンピュータを減らす技術だ。Haffによれば、中でもアプリケーションホスティングに人気が集まり始めているという。
Sunが注目しているのも、まさにこうした分野だ。Vassも、ユーティリティコンピューティングおよびホスティング方式の効率性と経済性を説いている。例えば、画像処理アプリケーション専用のサーバを4基稼働させるのではなく、Sun Gridを利用して必要なときだけそうしたサーバにアクセスするほうが効率がよい。また理論上は、サーバの購入費や維持費を支払わずに済むことから、コストの削減も可能になる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ