「セキュリティの脅威は進化し続けている」--米Fortinet副社長

日川佳三(編集部) 2005年09月01日 21時53分

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 米Fortinetは、ファイアウォールに各種のセキュリティ機能を搭載した統合型セキュリティ・ゲートウェイ「FortiGate」を開発するベンダーである。2005年9月1日、同社の副社長でワールドワイドの技術セールスと製品マーケティングを担当するジョン・ピーターソン(John Peterson)氏が来日し、ZDNet Japanに対してセキュリティ市場の展望を語った。

 FortiGateは、SOHO向け最下位モデル「FGT-50A」から、通信事業者までを対象とした最上位モデル「FGT-5140」まで全20モデルで構成する。全モデルともに専用ASICを搭載し、FortiOSと呼ぶOSが稼動する。機能はいずれのモデルも、ファイアウォール、VPN、IDS/IPS、ウイルス対策、スパム対策、コンテンツ・フィルタリングなどを搭載する。

--セキュリティ・ゲートウェイ市場は賑わっている。競合他社と比べた米Fortinetの優位性は何か。

 企業が求めるセキュリティ機能を独自設計の専用ASICとして実装している点が優れている。2000年の設立当時、VPN機能を持つASICベースの製品は市場に溢れていたが、ウイルス対策など上位層のセキュリティまでを含んだASICベースのゲートウェイを製品化した企業はなかった。米FortinetはASICベースで高位レイヤーまでのセキュリティ機能を実現した、世界で初めての企業なのだ。

 あらゆる製品に言えることだが、よりレイヤーの高い機能をASIC化していくというのが製品技術の自然な流れだ。機能の実装方法の進化は、次のようになる。第1段階はPC上で稼動させるソフトウェア、第2段階は専用ハードウェアを用いたアプライアンス、第3段階はASICに機能を実装、第4段階はよりレイヤーの高い機能をASIC化する。例えば、不正アクセスのパターンを記録したシグネチャに合致するかどうかをハードウェアで処理できれば、より高速になる。

 アプリケーション層の機能を使ってアプリケーション層のセキュリティ対策を施すだけでなく、下位のレイヤーに位置する機能であっても、アプリケーション層を意識した対策が可能だ。具体的には、FortiGateでは、IPパケットをバッファ・メモリ上で再構成して、通信内容をスキャンする。複数パケットに分散したウイルスのコードを検知するということだ。こうした処理もASICで高速に実行する。

 賢い機器でもある。ユーザー企業でのネットワークの使われ方を自己学習するのだ。通常とは異なるトレンドを発見して警告を出す。例えば、電子メールのトラフィックが20%前後の企業があったとして、この企業の電子メールのトラフィックが70%に達したとする。明らかにおかしいことが分かるわけだ。FortiGateは、こうしたトレンド分析と学習、警告の機能を備えている。

--単一のゲートウェイにレイヤーの異なる複数の機能をまとめる必要が本当にあるのか。実際に1台ですべてをまかなう企業がいるのか。

 世の中にあるセキュリティ上の脅威が、レイヤーの異なる複数の機能を利用しているのだ。例えば、スパムを利用してユーザーのPCにウイルスを感染させ、PCからウェブサーバにワームとして拡散し、ウェブサーバのシステムを破壊するといった具合だ。脅威に対抗するためには、あらゆるレイヤーのあらゆるセキュリティ機能が必要になる。

 脅威は絶え間なく進化しているのだ。情報システムにとって最初の脅威は、泥棒に盗まれるといった物理的な脅威だった。それが不正アクセスという姿に進化した。現在ではさらにレイヤーが上がってきている。昨今の企業ユーザーは、電子メールなどを媒介としたコンテンツの脅威に悩まされている。

 もしこうした機能を独立した別々のハードウエアで提供していたら、個々のハードウェアの導入コストが膨らむばかりでなく、運用管理コストは膨大になり、複数のゲートウェイを通過するがゆえにネットワークは遅延してしまう。あらゆる層に分散する脅威を1台で防止できるようにする意義を理解しなければならない。

--ネットワーク上での実際の使われ方は企業次第だが、製品としては1台で全機能を持っておくべきということか。

 その通りだ。企業によっては旧式のファイアウォールやウェブプロキシを使い続け、電子メール・サーバの手前にFortiGateを導入する場合もある。この場合、電子メールのセキュリティ機能だけを利用する。だがこうした企業も、いずれは旧式のファイアウォールをFortiGateに置き換え、FortiGateの全機能を利用するようになる。

 FortiGate自体は、個々の機能のオンとオフが簡単に設定できるようになっている。1台のFortiGateで全機能を利用することもできれば、複数のFortiGateを用意し、個々のFortiGateを単一機能で使うといった利用も可能だ。また、1台のFortiGateを、仮想的に複数のFortiGateとして利用することもできる。

 柔軟な構成を採りやすくするため、ゲートウェイを1枚のブレードにしてブレード型機器としたのが、通信事業者や大企業での利用を想定したFortiGate 5000シリーズなのだ。最大14枚のブレードをシェルフに収容できる。ブレード同士は、外部のネットワーク・ケーブルまたはバックプレーンを経由して接続する。1台の負荷分散装置に複数のウェブサーバをスター型に接続する形態と同じであり、可用性の確保と処理能力の負荷分散が可能になる。

--今後の製品展開を教えて欲しい。

 直近では、P2Pアプリケーションのセキュリティ機能を考えている。具体的には、P2Pのユーザー名情報をアクセス制御に利用するものだ。P2Pアプリケーションは自分自身をサーバや通信相手に伝達するアプリケーションだ。FotriGate上で、P2Pのユーザー名ごとに、アクセスを許可する接続先や、利用可能なP2P機能を定義できるようにする。P2P用のブラックリストとホワイトリストを用意するということだ。

--エンド・ツー・エンドのセキュリティは企業にとって悩みの種だ。

 その通りだ。セキュリティ・ポリシーで禁じている企業もあるくらいだ。例えば、社内のPCからインターネット上の資源に対してSSLコネクションを張られてしまったら、社外から入り込むウイルスを防止できなくなるし、機密情報が社外に漏れる恐れもある。暗号化されたら企業は手を出せなくなるのだ。アプリケーション・プロキシを使って検閲するやり方もあるが、現在、よりよい対策方法をリサーチ中だ。

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