仏Thomsonグループがビデオ編集関連のカノープスを買収する。Thomsonグループは12月5日、カノープスの発行済み株式33.33%を会長の山田広司氏などから譲り受け、残る株式を公開買い付け(TOB)すると発表した。取得総額は約9130万ユーロ(約128億円)になる見通し。
TOB期間は、12月6日から2006年1月16日まで。買付価格は1株当たり14万8000円で、過去30日の終値平均12万3900円に19.45%のプレミアムをつけている。買付予定株式総数は、発行済み株式の44.54%に相当する4万884株。応募株式が4万884株に満たない場合、応募株式すべてを買い付けしない。応募株式が4万884株以上は、応募株式すべてを買い付ける。
握手を交わすMarc Valentin氏(グラスバレー事業プレジデント、左)と山田広司氏(カノープス会長) |
TOBが成功すれば、Thomsonグループはカノープス株式の77.87%を所有することになる。最終的には100%取得して、カノープスを連結子会社にすると同時に、カノープス株式を上場廃止にする。
カノープスを買収するのは、Thomsonグループのグラスバレー事業。グラスバレー事業は、世界規模でテレビ局や映画会社向けにビデオ編集機器やソフトを販売しているほかに、放送システムに関するサービスなども提供している。
Thomsonグループでグラスバレー事業を統括するMarc Valentin氏は「カノープスは、PCでのデジタルビデオ編集システムやビデオのエンコーディング技術という強みを持っている。Thomsonとカノープスは重複する製品分野がなく、相互補完的な関係を築ける。カノープスの子会社化により、Thomsonはビデオ編集システムや放送システムなどの分野で成長を加速させることができる」と語り、カノープス買収にメリットがあることを強調している。
「カノープスとThomsonは製品分野が相互補完的であり、ベストな組み合わせだ。また企業文化が類似しており、将来にもわたってベストな関係を維持できる」(山田氏)
カノープスはこれまでにも米国や英国、ドイツなどに拠点を設置して、海外にもビデオ編集機器などを販売していたが、「Thomsonグループの販路を生かすことで、今までよりも強力な販売戦略を展開できるようになる」(山田氏)。
カノープスは消費者向けのビデオ編集機器を販売しているが、山田氏は「今後も消費者向けには製品を供給していく。ただビデオ編集関連市場には多くの企業が参入するようになっている。価格競争に陥ることも想像されるため、具体的な製品展開についてはこれから検討していく」と説明している。
Thomsonは、MP3プレーヤーなどの個人向け製品も欧米で展開しているが、日本では展開していない。Valentin氏は「カノープスの販路を生かして、個人向け製品を日本市場に展開することも視野に入れている」との考えも明らかにしている。