クラスタ技術をストレージに適用するアイシロン

藤本京子(編集部)

2007-01-29 20:44

 ストレージの可用性と信頼性を高めるためにIsilon Systemsが選択した技術、それはクラスタだった。ストレージベンダーの同社は、スーパーコンピュータの世界で普及していたクラスタ技術をストレージの世界に適用し、「クラスタストレージ」という新たな分野を生み出した。

 Isilonのクラスタストレージは、「OneFS」という分散ファイルシステムによって実現する。これは、ファイルシステム、ボリューム管理、RAIDという3つの機能をひとつにしたものだ。Isilon Systems ソフトウェアエンジニアリング バイスプレジデントのPaul Rutherford氏は、「OneFSを利用すれば、RAIDシステムをサーバに接続するための設定や、ディスク管理の設定、ファイルシステムの設定などが専門知識なしにできるようになる」とアピールする。

Rutherford氏 Isilon SystemsのPaul Rutherford氏

 「ストレージの量が足りなくなって新たにシステムを追加する際も、1分で設定ができる。もちろんストレージ専門の技術者は必要ない」(Rutherford氏)

 Isilonのシステムは、最低3つのノードで構成される。ファイルをひとつのノードに格納し、そのコピーを自動的に2つのノードに振り分けて作成する。「クラスタの中にRAIDがあるようなものだ」とRutherford氏は説明する。

 ハードウェア自体は、ハードウェアベンダーやネットワークベンダーからのスタンダードコンポーネントで構成されているため、「非常に競争力のある価格だ」とRutherford氏。ただし、バックエンドネットワークは、Isilon独自のネットワークカードを採用している。

 特にストレージは、パフォーマンス向上のために高価なディスクを利用するが、「われわれのシステムはノードを増やすことでパフォーマンスの向上を実現する。ディスクそのものはPCと同様の安価なものだが、クラスタ構成のため信頼度は高い」とRutherford氏は説明する。

 日本法人のアイシロン・システムズでは1月29日、クラスタストレージの新ラインアップとして「Isilon IQ 200」を発表した。これまでの同社の製品は、主に大企業をターゲットとしており、単一のファイルシステムと単一ボリュームで10Gbpsまでの性能拡張と1ペタバイトまでの容量拡張に対応したものだったが、IQ 200は6テラバイトから48テラバイトまで段階的に容量を増やせるようになっている。

 Rutherford氏は、「これまでの製品は主に大企業をターゲットとしていたが、IQ 200はストレージ専門の管理者がいない中小企業にも利用してもらいたい」と述べた。

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