Microsoftはより多くの企業が「Microsoft Dynamics」を採用することを望んでいるが、最新の戦略では、同製品を利用するビジネスにより多くの人を引き込むことに狙いを定めている。
Microsoftは米国時間3月12日、「Microsoft Office」を利用して同社ERPアプリケーションに蓄積したデータにアクセスする新製品を発表した。この製品では、使い慣れたインターフェースが提供されるだけでなく、価格がフルライセンスのMicrosoft Dynamicsよりもかなり低くなる。
ゼネラルマネージャーのJames Utzschneider氏は、より多くのユーザーに普及させることが重要だ、と述べる。同氏は、一般的なビジネスにおいてERPのデータにアクセスする人は企業全体の15%に過ぎないというAMR Researchの調査を示した。
同氏は先週行われた電話取材で「少数の人しか日常的にERP製品を利用していないとしたら、ソフトウェアはどうやってビジネスを変えてゆくのか」と述べた。
「Microsoft Dynamics Client for Microsoft Office」と呼ばれる製品は1ユーザーあたり195ドル、Windows SharePoint Serverのライセンスを含んだハイエンドバージョンは395ドルで販売される予定である。Microsoft Dynamicsのフルライセンスだと、1製品のライセンスで数千ドルに届く。
Microsoft Officeをバックエンドシステムと結び付けようとする試みは、Microsoft Dynamicsだけに限ったものではない。同社がSAPと共同開発した「Duet for Microsoft Office and SAP」は、SAPのERP製品をMicrosoft Officeにリンクさせるプログラムである。
Microsoft Office用の新製品に加えてMicrosoftは、フル機能のERP製品数種類をバージョンアップする計画も発表する予定である。発表は、MicrosoftがMicrosoft Dynamicsのユーザーとパートナー企業向けに毎年行っているカンファレンスConvergenceの開催に合わせて行われる。Convergenceは今週サンディエゴで開催される。
Microsoftによると、「Microsoft Dynamics NAV 5.0」が2007年3月、「Microsoft Dynamics GP 10.0」と「Microsoft Dynamics SL 7.0」が2007年6月にリリースされる予定だという。同社は、それぞれ別の買収企業から派生した、複数の製品を所有している。Microsoft Dynamics GPはGreat Plains、Microsoft Dynamics NAVはNavisionなど、製品名が買収した企業を示している。
「Project Green」と呼ばれるプロジェクトによるシングルコードベースへの移行計画発表に続けてMicrosoftは、将来に向けて複数バージョンの製品をラインアップする計画である。ここでは、製品のルックアンドフィールを統一し、ウェブサービスを利用して情報を交換することに重点を置いている。
Utzschneider氏は「できるだけ多くのコードを共通化する予定だ」と述べたが、ユーザーは単一の製品を望んでいるわけではない、と付け加えた。「最優先事項はユーザーが望むソフトウェアを提供することだ」(Utzschneider氏)
MicrosoftはCRM製品の次期バージョンについても、この方向性をアピールしている。購入して企業のサーバで実行することも、サブスクリプションベースでレンタルすることも、Microsoftのサーバでホスティングすることも可能なソフトウェアを提供するというものである。Utzschneider氏によると、Microsoftが「ConvergenceでMicrosoft Dynamics Live CRM」の詳細について発表する予定はないが、2007年後半の発売に向けて現在も開発が進行中であるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ