ソフトバンクテレコム、治験のプロセスを効率化する医療機関向けソリューション

別井貴志(編集部)

2007-04-16 21:22

 ソフトバンクテレコムは4月16日、新薬を開発する臨床試験(治験)のプロセス業務を効率化する医療機関共同利用型(ASP)の臨床研究・治験支援ソリューション「クリニカルエフォート」を開発したと発表した。

 治験とは、新薬開発のプロセスの中で有効性や安全性を確認するために、協力の同意を得た患者、参加者(被験者)と、製薬会社、医療機関とが実施する臨床試験のことだ。この臨床試験で得られたデータを元に新薬の審査申請の手続きや、評価を得て新薬が承認されるが、2003年厚生労働白書・資料編によると、通常は開発期間に9年〜17年、また、創薬を依頼する製薬会社が負担する費用は約200億円〜300億円かかると言われ、日本の新薬開発は海外と比較して、開発費の投入からその回収までのタイムラグが極めて大きことが問題視されている。

 そこで、同社は、自前でシステムを構築するという考え方ではなく、治験環境などさまざまな変化に対応し、メリットを享受しながら共有していくというコンセプトから、製薬会社と同じネットワークで使える共通のアプリケーションを導入することで業務改善を図れるように、システムクリニカルエフォートを開発した。

 治験データをデータセンター内に集約し、関係各機関が利用しているインターネット回線からセキュアな環境でデータにアクセスし、リアルタイムに案件確認や進捗管理ができる利用環境を提供する。また、共同利用型のASPサービスとして提供することで、各機関での作業の共通化、効率化を図り、治験プロセスのスムーズな遂行を実現することで、現在の治験で問題視されている費用、時間、品質の改善につなげる。

 クリニカルエフォートは、福岡大学病院と近畿大学医学部附属病院に導入された。福岡大学病院では、治験データを共有する製薬会社を除々に増やしていき、2007年5月の本格導入を目指す予定で、臨床研究支援センター長の野田慶太助教授は「当院のように専門のIT部門を持たないに医療機関にとっては、導入が容易だ」と語った。また、近畿大学医学部附属病院は、同病院の臨床試験管理センターの治験業務を支援するSMO(治験施設支援機関)企業を通じて「クリニカルエフォート」を導入し、当初は安全性情報管理など治験事務局内の業務に活用する。

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