仕様公開で製品群の幅を広げる日本IBM--特集:ブレードサーバ市場を探る(3)

谷川耕一 2007年05月23日 08時00分

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豊富な製品群がユーザーの選択肢を拡げる

 「IBMのブレードシステムの特長は、さまざまなバリエーションを持っていること。プロセッサだけをみても、インテル Xeonのデュアルコアおよびクワッドコアプロセッサをはじめ、AMDやPowerPC、さらには、IBMとソニーグループ、東芝の3社で共同開発したCell Broadband Engine搭載のものも用意している」

佐々木氏 IBMのブレードシステムの特長について話す佐々木言氏

 日本IBM テクニカル・セールス・サポート フィールド・テクニカル・サポート システムx アドバンスト・テクニカル・サポート ACP-シニアITS 佐々木言氏は、IBMのブレードシステムの特長の1つが、バラエティの豊富さだという。x86系の採用はもちろん、エンタープライズで実績あるOSのAIXが稼動する自社製PowerPCプロセッサや、ソニーのPlayStation 3で採用されているCell Broadband Engine搭載機も用意しているのだ。こうした数多くの製品群を用意しているのは、ブレードシステムがウェブサーバなどの特定の使い方に限定されていたものから幅広い分野で利用されるようになったため、「さまざまなタイプのサーバが現実として必要になっているためだ」と佐々木氏は説明する。

仕様の公開でパートナーとの協力体制を

 PowerPC 970プロセッサを搭載した「BladeCenter JS21」ではよりミッションクリティカルな処理を、Cell Broadband Engine搭載の「BladeCenter QS20」は画像配信などのリアルタイム処理をといったように、ユーザーの要求にあわせサーバが選択できる。IBMのバラエティはサーバの種類だけではない。周辺機器となるイーサネットやファイバーチャネル、インフィニバンドのスイッチなどについても、豊富なラインナップが用意されている。

 他のベンダーでは、ブレードのシャーシに搭載できるI/O装置は、そのベンダーが用意するスイッチ類がいくつかあるだけというのが普通だ。これに対しIBMでは、シスコシステムズやノーテルネットワークスといったパートナー企業の製品が数多く揃っている。企業ではすでにブレードシステム以外にも多数のサーバが稼動しており、それらは例えばシスコのルータなどと接続して管理しているはずだ。多くの企業では運用管理を簡素化するため、標準のネットワーク装置ベンダーを決めていることだろう。

 ところが、新たに導入したブレードシステムだけが、そのベンダーが用意するネットワーク装置しか選択できないとなると、複数のネットワーク装置を管理しなければならない。ブレードシステムに搭載できるネットワーク装置などをユーザーが自由に選択できるというのは、運用管理性を考えた場合にも大きなメリットとなるのだ。

 このようにさまざなベンダーの機器をオプションとして用意できるのは、IBMがBladeCenterの仕様を公開していることが大きく貢献している。

 「2004年9月に、IBMはBladeCenterの仕様を公開した。これにより、オプション製品を提供したいベンダーは自由に開発ができるようになった。この取り組みは、ハードウェアベンダーだけではなくソフトウェアベンダーとも実施している」(佐々木氏)

 x86系のサーバは特に、1社のメーカーだけで作れるものではない。プロセッサはもちろん、各種部品群はさまざまなベンダーから提供される。それぞれの分野で実績あるベンダーが、ブレードシステムに対しても積極的に製品提供するパートナー体制は、他社ではあまり見られない。

 さらに、周辺機器の選択肢が多いのはサポート体制でも有利だ。仮にシスコ製のスイッチをブレードシステムの外に用意した場合、ユーザーはIBMとシスコの2社にサポートを依頼することになる。その場合、何らかのトラブルが発生すれば、問題の切り分けはユーザー自身が実施することになる。これに対しIBMのBladeCenterでは、シャーシに搭載できる部品はIBMの製品として提供しており、保守費用はシャーシに含まれる。そのため、ユーザーはワンストップでIBMからサポートを受けることができるのだ。

 IBMは、ブレードシステム市場への参入は比較的後発ではあるものの、それゆえの優位性もあるという。

 「他社のブレードシステムの多くは、当初ウェブサーバなどの限定的な利用を想定していたため、可用性などがあまり考慮されていなかった。最近になりシャーシの仕様を大幅に変更することで、サーバ用途でも利用できるようになっている。仕様変更をしたため、互換性がなくなり、過去のサーバ資産を生かすことができないものも多い。これに対しIBMは、後発ということもあり最初からサーバ用途を考慮し、可用性、信頼性の高いアーキテクチャとなっている。その上で互換性を確保し、初期に提供していたサーバもすべて新しいシャーシで稼動可能だ」(佐々木氏)

 IBMは2006年にすでに3世代目のシャーシを提供しているが、新しいシャーシでも初代のブレードサーバが利用できる。その互換性を確保した上で、10Gビットクラスのイーサネットにも対応する広帯域なミッドプレーン性能を提供している。そして、ブレードシステムの仕様を公開しているため、新たな技術を導入する際にもむやみにこの仕様は変更されないのだ。

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