Advanced Micro Devices(AMD)のあるエンジニアによると、AMDが開発中の次期プロセッサ「Griffin」(開発コード名)は、基本部分の設計については既存製品とあまり変わらないものになるという。
Griffinは、消費電力の制約が厳しいノートPC向けに重要な変更が行われた「次世代」のモバイルプロセッサだとうたわれている。しかし、こうした変更の大部分が実装されているのはメモリコントローラなどで、コア自体はほぼ同じものになると、AMDのJonathan Owen氏が「Hot Chips」カンファレンスで説明した。
AMDのモバイルプロセッサ「AMD Turion 64」の初代モデルは、基本的には消費電力を最適化した、サーバ向けプロセッサ「AMD Opteron」の別バージョンだった。AMDとIntelは現行のチップ設計に関して、異なるアプローチをとっている。AMDは、まずサーバ向けチップを開発し、それをカスタマイズしてほかの用途に利用しているのに対し、Intelは、まずノートPC向けのチップを設計し、これに手を加えてほかの用途に使っている。
AMDはノートPC市場でかなり健闘しているが、高価な(つまり、もうけが大きい)ノートPCに関しては、Intelに十分に対抗できていない。この状況を変えるのがGriffinのはずだが、Owen氏によると、AMDはコアの基本設計に変更を加えずに、この変化をもたらそうとしているという。「Griffinは基本的にはノースブリッジのプロジェクトで、既存のプロセッサのコア設計を基盤としている」とOwen氏は話している。
Griffinでは、プロセッサとメモリを接続するノースブリッジ部分が、最も大幅に変更されている。AMDのチップはノースブリッジが直接プロセッサ上に統合されており、この点がチップの外にメモリコントローラがあるIntelと異なる。
Griffinでは、メモリコントローラがプロセッサではなく、メモリのスピードで動作するので、これまでよりも消費電力を節約できると、Owen氏は説明する。メモリコントローラはプロセッサとは別のパワープレーン(電力供給ブロック)に搭載されるので、より低い電圧とクロックスピードで動作することになる。またGriffinは温度モニタがプロセッサ上に直接搭載されており、少し熱くなり始めた段階で、チップを減速し適切なスピードへと戻すことができる。従来、こうした制御はチップ外に置かれた温度モニタが担っていた。
Griffin搭載のノートPCは2008年中ごろに発売される。コアの基本設計はAMDの現行のモバイルチップであるTurion 64と同じということで、Owen氏は、TurionとGriffinのクロックスピードはほぼ同じになると予測しながらも、多少は速くなるだろうとの見通しを示している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ