――NGNにおいて、インタフェースの仕様が一般に公表されていないことが、サービスの発展および新サービスの開発を阻害する要因になっているのではないですか?
現段階で、NTTはインタフェースを作ることはできません。まず、ベンダーやユーザーも含め、将来に向けたサービスの構想を作る必要があるでしょう。これまでも業界横断的な話し合いの場はありましたが、キャリアにとっては利権が密接に絡むので進展しない。インタフェースの仕様が決まらないので、ベンダーもサービスの提供および新サービスの開発に積極的に取り組むことができないのが現状です。
――NGN時代のビジネスモデルを教えてください。
ビジネスモデルはいくつか考えられます。まず、一般ユーザーがインフラで提供されるサービスを受けた場合に使用料を徴収するモデル。キャリアのインフラビジネスは広く薄く利益を生むモデルなので、設備コストや運用コストが下がれば利益を確保できます。
次に、キャリアが新サービスをユーザーに提供することで利益を生むモデル。さらに、プラットフォームを提供することで、ベンダーからインフラ使用料を回収する課金モデル。最後に、広告モデルも含まてくるでしょう。
キャリアは、インフラを提供することで確固たる利益を確保すること、各ベンダーにネットワークを使ってもらうことで、さまざまなビジネスを展開させる仕組みを作ることが課題です。平準化によって、結果的に利益を生むエコシステムを構築していくべきでしょう。
――NGNが本格的に加速するのはいつ頃からになるのでしょうか。
多少のサービス提供はあるかもしれませんが、2010年まではインフラの整備期間になるでしょう。2010年過ぎにインタフェースの仕様が少し見えてきて、サービスが動き始める。2011年7月に地上波デジタルへの完全移行が完了して初めて、キャリアはNGNの構築に本腰を入れて取りかかることができます。ユーザー企業のビジネスが本格的に動き、コンポーネント的なサービスが提供され始めるのが2015年ごろだと予想しています。
――NGNの今後の展開に期待することは何ですか。
NGNのアプリケーションも、インターネットと同様、SOAやウェブベースのテクノロジに置き換わってきています。NGNとインターネットのテクノロジを融合させることで、これまでにない新サービスが生まれてくることを期待しています。