ただし個人情報、宗教問題、同和問題など、あげれば多くの配慮すべき問題がある。しかし遅かれ早かれ日本にもブームの波がやってくるに違いない。
日本で家系を調べるには役場で除籍簿を辿ればだいたい200年前後まで遡ることができるらしい。これは個人でできる。ただ行政書士や探偵事務所に作業を代行してもらうこともできるようだ。
また行政書士の中には調査に加えて家系図をつくって額縁に入れたり、巻物にしてくれる所まで現れている。除籍簿の保存期間は除籍後80年と定められていて、それを過ぎると除籍簿が廃棄処分になる可能性があるので、関係者は「早く調べないと家系が辿れなくなってしまう」と危機感を募らせている。
日本には家系図をつくるパッケージソフトやシェアウェアはあるが、Ancestry.comやGeniのような大規模な家系図サイトは、まだ存在しなかった。そこで2007年3月に、パワーウィングスで家族SNSをロンチした。
パワーウィングスの本業はシニア市場調査であるが、シニア層でブームの前兆が見える家系図への関心度を調査する目的で家系図ツールを実験的にこの家族SNSの中で提供してみた。その結果、シニア層の関心の高さは確かなものだった。
2007年8月、この家系図ツールだけを切り出して「ネットde家系図」としてテストオープンしたところ、約4カ月で利用登録6000人、系図登録3万人を超えた。
また家系図を通して試してみたいことがある。「家族の絆を大切に」とか「やっぱり家族愛」と高らかに唄えば人はそこに一線を引く。家系図をつくりながら間接的に、結果的に、家族や親族との絆を意識させられないだろうか。
熟年離婚、パラサイトシングル、DV、犯罪の低年齢化などの社会問題を、家族の絆を強めることによって緩和できないものだろうか。と、大層な事を考えたりもしている。
6000人の利用登録者のうち18%が50代以上であるが、一人で100人〜200人以上の系図登録をするなど、系図登録数の平均が高い事がこの世代の特徴と言える。また20代、30代の女性の利用も多く、実施したグループインタビューでは「夫の親戚の名前や関係、生年月日等を整理する」という目的が見えてきた。
世代によって家系図をつくる理由はさまざまのようだ。2008年も「ネットde家系図」の実証実験を続ける。来年の今頃は、飛行機のタラップから降りてくる「家系図ブーム」の姿に日本中が湧き返っているかもしれない。
そう、日本に家系図ブームがやってくる ヤア!ヤア!ヤア!なのである。