ノーテルネットワークスは6月10日、ネットワークの仮想化を可能にするソリューションを発表した。
今回仮想化ソリューションとして発表したのは、新製品の「Nortel Virtual Services Switch 5000」(VSS 5000)と、ハイエンドのレイヤー3スイッチ「Nortel Ethernet Routing Switch 8600」(ERS8600)に新しく「RSモジュール」4機種を追加した最新バージョンだ。
Nortel Networks エンタープライズソリューションズ セキュリティ&アプリケーションインテリジェンス ネットワークマネジメント ポートフォリオリーダーのWassim Tawbi氏は、企業の課題として、IT予算が限られていることや、ネットワークとアプリケーションの設計が複雑化していること、新ビジネスへの迅速な対応、ITインフラのコスト効率化などを挙げる。こうした課題は、「仮想化によって単一の物理環境を複数の異なる環境のように運用することで解決できる」とTawbi氏は話す。
「ストレージの仮想化では、2倍以上のコスト削減が可能となった。VMwareなどのコンピューティングの仮想化では、サーバのインフラにおいて5倍もの削減が可能となった。このようなリソースの有効活用をネットワークの世界にも適用させたい」(Tawbi氏)
VSS 5000は、単一プラットフォームにてデバイスの統合やサービスの仮想化、複数サービスの即時編成が可能な仮想化スイッチだ。ユーザーが必要とするサービス向けのモジュールを選択して搭載することが可能で、サーバロードバランシング、ファイアウォール、侵入検知(IDP)、Intelligent Traffic Management(ITM)、SSLアクセラレーション、VPNs(IPSEC、SSL)、アプリケーションオプティマイザなどのネットワークサービスが必要に応じて利用できる。
Tawbi氏は、VSS 5000の導入前と導入後のコストについて、「導入前は、ファイアウォールやVPN、IPO、AO、SLB+SSL、アプリケーションオプティマイザ、トラフィックマネージャなど、設備だけで約50万ドル程度が必要だった。VSS 5000にすれば、これが20万ドルで実現できるため、設備で50%以上のコスト削減が可能なのはもちろん、保守費用や電力および冷却費用も削減でき、運用もよりシンプルになる」と説明する。
またERS 8600の最新バージョンでは、RSモジュール4機種を追加し、ネットワークインフラの仮想化を実現する。最新バージョンでは、仮想ルータ機能や、既存のIPバックボーンを通じて提供される仮想私設網(VPN)のプロヴィジョニング機能などが用意されている。Nortelのスイッチクラスタリング技術により、耐障害性も高くなっている。
ノーテルネットワークス エンタープライズ営業本部 テクニカルセールス&プロダクトマーケティング部 部長の犬塚昌利氏は、仮想化ソリューションの活用例として、「データセンター事業者は、サービスメニューに直結するベース機能を提供できる。大学などでは、統廃合に伴うバックボーンの共有化や、学部間での個別ポリシーの設定、管理の分割などが可能だ。また、企業のエクストラネットとして、グループ企業間で効率的なネットワークリソースの利用ができる」と説明した。