Web 2.0を用いて業務を改革し、不況を生き抜く

文:Dion Hinchcliffe(Special to ZDNet.com) 翻訳校正:村上雅章・野崎裕子 2009年02月09日 08時00分

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 2009年が多難な年であることは、大多数の業界においてすでに自明の事実となっている。今日におけるほとんどの組織では、現在の経済情勢で最善を尽くすためにできることを真剣に模索しているのだ。

 組織のリーダーたちのなかには、基本に立ち帰ろうとする者もいれば、まったく新しい手段を採ることで生き延び、繁栄していこうとする者もいる。われわれが今行おうとしている意志決定によって、企業の行く末に大きな影響が与えられることになるのだ。

 幸いなことに、枠にとらわれない発想をするのであれば、現時点でも数多くの有効な選択肢がほとんどの大企業で実際に適用できる。一部の企業は、Web 2.0といったものごとのソーシャルな側面を軽く捉え、厳しい状況が訪れている時期には脇に押しやろうとするだろうが、大企業におけるWeb 2.0の持つ深い意味合い(関連英文記事)を考えた場合、それはあまりにも現実とかけ離れていると言えるのだ。2.0時代において、さらなる変革をもたらす側面の多くは、すでに大規模な基盤を有しているうえ、大企業が今すぐ採用できる正真正銘のソリューションやパイロットにも利用できるようになっており、その多くは適切な状況--すなわち急速に変化しているビジネス環境に直面した企業が適応や変革を強く必要とするようになる状況--を待っているだけという状態なのだ。

 Web 2.0が今、特に大企業に興味を持たれているのは何故だろうか?これまでに語られてきたWeb 2.0というものは、ネットワーク、およびネットワークに接続されているものが持つ固有の力を引き出すということについてであった。つまり、これは人と人(ソーシャルコンピューティングとエンタープライズ2.0)や、低コストの動的なウェブツール(オープンAPIやクラウドコンピューティング)、世界最大の情報データベース、軽量の統合化機能(マッシュアップやウェブ形式のSOA)、あるいはネットワーク自体が持つ価値の最大化(いわゆるネットワーク効果)といったことについてである。こういったものを組み合わせることで、以前であればネットワークの力を借りることなく、あるいはネットワーク自体の利点を活用することなく行っていたことを、より優れた、そしてより効率的かつ安価なかたちで実現する方法が見えてくるのだ。

図

 この話題に関するより多角的な考察については「2009年におけるエンタープライズWeb 2.0--8つの予想」を読んでいただきたい。

 幸いなことに、企業同士がネットワークによって密接に連携するようになったことで、2.0のアプローチに内在している効率性が、ファイアウォールの内外を問わず発揮されるようになってきている(ただし、ちょっとした違いは残っている)。

 では、混沌として先の見えないこの時期に、価値を創成する新たなアプローチを探し、苦しんでいる組織は、このことにどういった意味を見出せばよいのだろうか?2.0を用いたアプローチによって、コスト削減や成長がどのように促進されるのだろうか?以下では、2009年における難関と格闘している組織が、どのようなかたちで2.0によるアプローチを活用できるのかということについて解説している。いくつかのものはテクノロジに重きを置いたものとなっているが、多くのものはほとんどの企業におけるさまざまな業務で実質的な成果を期待できる、Web 2.0の戦略的なアプローチとなっている。

 Web 2.0の場合と同様に、こういったものごとに取り組んでいく場合、大々的な権限の委譲と、より高い透明性や開放性が必要となってくるものの、それは多くの組織にとって敷居の高いことであるという点に留意してほしい。しかし、こういった極めて大きな政治的問題や文化的問題、考え方にかかわる難問を克服しようという意志を持った企業にとって、極めて重要な機会が待ち受けていることになり、そのための投資は比較的小さなものですむこともしばしばあるのだ。

成長と復興のための、Web 2.0の戦略的な活用

 いつも書いていることだが、ここで挙げた一覧はすべてを網羅したものではない。これらは出発点として適切なものであるということは確かだが、むしろ可能性を感じ取ってもらうためだけに挙げたものであると考えてほしい。実際、私のみならず他の人たちも熱い話題になると予言しているモバイル等の重要な領域(関連英文記事)についても、あえてここでは挙げていない。こういった領域は話題になっていても、現時点においては変革に向けた十分な力を蓄えていないのだ。なお、こういった話題に関する意見についてもコメントを歓迎する。

1. エンタープライズアプリケーションを、よりコストの低いオンライン/SaaS版に移行する。毎年、アプリケーションのアップグレードを行い、新たにライセンス費用を支払うということは、全従業員にコンピュータを供与しているほとんどの企業にとって、継続的に発生し続ける予算上の大きな制約になっており、今や排除すべき対象であるということを認識してほしい。オープンソースソフトウェアを採用するという選択肢により、初期投資を低く抑えることができることは確かであるものの、それもサポートコストやその他の要素を考慮するまでの話である。実際のところ、今日では事実上ありとあらゆる種類のビジネスソフトウェアにさまざまな低コストの選択肢が用意されているものの、ブラウザで配備可能なもの、あるいはもう一歩進んでSaaSとして社外でホスティングされているものでない限り、プロバイダーの持つ規模の経済効果を活用してアップグレード時の配備やテクニカルサポート、ホスティングやバックアップ、管理にかかる各種のコストを削減することはできないのだ。なお、アプリケーションの外部ホスティングを経験してみるというのであれば、戦略的に重要でない業務をSaaSに移行してみるということを出発点とするのが最適であろう。

 戦略的に重要な業務アプリケーションは、カスタマイズや変更管理といった観点から見た場合、そしてガバナンスや信頼性、コンプライアンス、規則といったものにかかわる懸念を考慮した場合においても、SaaSモデルへの移行がより難しいものとなる可能性がある。再教育やデータ移行のコストは、SaaSを採用した場合でも発生するものの、今日のようにオンライン化とデータの標準化が進んだ世界においては管理可能なレベルに落ち着いている。では、実際にはどれくらいのコストダウンが可能になるのだろうか?結果はケースバイケースであるものの、最近のレポート(英文記事)によると顧客関係管理(CRM)システムをSaaSに移行することで、平均的な企業では25〜40%のコストダウンを達成できるという。ほとんどの大企業におけるCRMの主な機能を考慮した場合、他のビジネスアプリケーションについても、概ねこの値を当てはめることができるだろう。従来のビジネスアプリケーションをSaaSに移行した際のオプションの概観を得るには、Monolabの素晴らしいOffice 2.0データベースを見ていただくのがよいだろう。

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