風力や太陽光がそれほど利用されていない理由が、技術不足だと思うなら、考え直す必要がある。
米学術研究会議(NRC)は米国時間6月15日、報告書を発表し、風力、太陽光、地熱、波力、潮力、バイオマスといった再生可能エネルギー源によって、既存の技術で2020年には米国の電力供給の10%を供給できると述べている。現在、水力を除く再生可能エネルギーが米国の電力構成に占める割合は、約2.5%だ。
同報告書によると、持続的な政策と投資によって、2035年までに再生可能エネルギーの割合を米国の電力の20%にすることが可能だという。また、水力を除く再生可能資源による発電を2035年以降50%以上にするには、発電分野における新しい科学的進歩と劇的な変化が必要だと結論づけている。
同報告書は、利用拡大に対する中短期の主要な障害として、コスト、政策、不十分な送電網を挙げている。
「Electricity from Renewable Resources: Status, Prospects, and Impediments(再生可能資源による電力--現状、予測、障害)」と名付けられたこの調査報告は、議員にエネルギー政策を説明するために実施された。エネルギー政策は現在、重大な局面にある。米上下両院は、再生可能エネルギーの利用促進とエネルギー効率の改善を義務づける法案を検討中だ。下院法案には、温室効果ガスの排出を制限する規定が含まれている。NRCは、全米科学アカデミー(NAS)および全米技術アカデミー(NAE)の主な作業部門である。
現在利用可能な技術の中でも、風力と太陽光は、米国のさまざまな地域で豊富に得ることができ、最も可能性がある。従来型の地熱資源とバイオマス資源も導入の準備が整っている。強化地熱発電(地下岩体を破砕して水を注入し、加熱する)、波力発電、潮力発電は、まだ商業化が可能になっていない。
陸上のウインドファームで、現在の電力需要の10%から20%を供給できる可能性がある。短期的な技術改善は、コンポーネントのパフォーマンスを最適化することと、風力を送電網にうまく集約することのみが中心になっている。
太陽エネルギーは、太陽電池パネルと集光型太陽光発電システムのどちらも、「基本的には、資源基盤に負担をかけずに膨大な量の電力を提供できる」(同報告書)