トレンドマイクロは7月30日、同社主催のプライベートカンファレンス「Direction 2009」を東京・千代田区で開催した。「仮想化」と「クラウド」をテーマに、ITシステムでの新技術の運用、企業経営とITマネジメントとガバナンス、企業内外にもたらされるさまざまな脅威への対抗策などを解説する講演、セッションを実施した。
基調講演にはトレンドマイクロ 代表取締役社長兼CEOのEva Chen氏が登壇し、「クラウドと仮想化で変わるITとセキュリティ」と題して、クラウド時代のITとセキュリティの未来について熱弁をふるった。
知識経済の時代にITが果たせること
Chen氏は「ITが知識経済を実現すると信じている。データを情報に変換し、ユーザーに提示する。ユーザーはそれをもとに意思決定ができ、情報や知識が力の源泉になる。我々はそのような情報化時代に生きており、データや情報が豊富にある。そのため、我々は世界をまったく新しい形で見ることができる」と話す。
しかし、「我々の世界」にはさまざまな課題があり、ジレンマも常にある。「社会はさまざまな相互関連性を持っているが、インターネットは完全に安全なものではなく、多くの脅威にさらされている。また、それらは劇的に増えている。最近、当社は2.5秒に1回、新たな脅威を世界で発見している」ほどだ。
厳しい経済環境下、ITのための予算も切り下げられ、セキュリティ向けの予算も減っているのが現状。では、ITはこうした事態にどう対処すれば良いのか。
「ITの専門家たちは戦略を加速させなければならない。しかも、同時にコスト削減も求められている。さまざまなプロジェクトを世界中で進めなければならないので、作業量は相当多くなる。相互関連性の強い世界経済において、また、爆発的にデータ量が増加している状況の下で、迅速な意思決定が必要になる。高速なデータ処理能力を利用して、すばやい意思決定ができる人々は、企業を勝利者に導くことが可能になる」
そこで、現状の課題を解決する手段として、クラウドコンピューティングや仮想化が浮上してくる。ただし、これもやはり万全ではなく、脅威もまた存在する。