FA宣言で希望のチーム入り--「あったらいいな」を実現する企業:トレンドマイクロ

遠竹智寿子

2009-06-10 12:08

 第7回目の「あったらいいな」は、トレンドマイクロの「フリーエージェント制度(FA制度)」についてです。皆さんは、プロスポーツ界で「フリーエージェント」という言葉をよく耳にすると思います。所属チームとの契約を解消して、他チームとの契約を自由に締結することを指し、選手自身にとって一番働きがいのあるチームに移る機会を与えてくれる制度のことです。

 最近では、ビジネス界でも社内人材の適材適所を最適化する目的でフリーエージェント制度を実施する企業が出てきています。トレンドマイクロもその1社。同社では、社員が自ら希望する職種に異動したりキャリアパスのチャンスを得られるように、「フリージョブエントリー制度」と呼ばれる社内人材登録制度を用意しています。

「Be Yourself」を実現する制度

キャリアアップが図れそう度 ★★★★☆
社員の声に耳を傾けてくれそう度 ★★★★★
仕事のモチベーションが高まりそう度 ★★★☆☆
前向きに仕事に取り組めそう度 ★★★★☆
新しい自分を発見できそう度 ★★★☆☆
トレンドマイクロの「あったらいいな」度

 トレンドマイクロの人事総務本部 人事部 部長代行である本多正幸さんにお聞きしました。

 トレンドマイクロと言えば、セキュリティ対策ソフト「ウイルスバスター」の開発と販売を手掛け、国内外で高いシェアを誇るインターネットセキュリティ企業です。外資系企業だと思われがちなトレンドマイクロですが、実は同社の本社は東京にあります。

 「トレンドマイクロは、台湾人であるSteve Chang(現会長)によって1989年に設立されて以来、東京に本社を置く企業です。外国人経営による『日本発の多国籍企業』という位置付けを持ちながら、グローバル企業と国内企業の文化がミックスされた独自の社風が育ちました」と、本多部長代行は説明しています。

Trend Micro 高いシェアを誇るトレンドマイクロの「ウイルスバスター」

 常に予測不可能な脅威に対応するため「現状に妥協しない」というビジネス視点を持つトレンドマイクロ。そのため、「社員自身も常に新しい環境を求め、自分の道は自分で切り開こうという『Be Yourself』の精神が企業DNAに組み込まれています」と本多部長代行。ただし、「Be Yourself」とは言っても、実質的にそれが実現する仕組みがないのでは何も変化が起こりません。そこで同社では、実際に制度を考えるにあたって、2001年に退職者に対するインタビューや社内満足度調査を行いました。その結果、「『希望する職種や部署での仕事に就くためのキャリアアップのチャンスが社内にない』との意見が出てきました」と本多部長代行は話します。

 そこで人事部では、「社員が自分自身のキャリアを自律する環境・機会を提供する」というミッションを掲げ、その考えに沿って作られたのが2002年より実施している「フリージョブエントリー制度(FA制度)=社内人材登録制度」だったのです。

FA制度の仕組みとは?

 本多部長代行は、社員自身が「自分のキャリアをどうデザインして行くか」を考えた時の1つの選択肢が「FA制度」であると説明しています。「現在トレンドマイクロでは、会社全体で約4000名、その内の約500名が日本国内で社員として働いており、その80%が中途入社で、残り100名程が新卒社員です。多くが転職組みであり、その平均年齢は35歳となっています。こうした状況下で弊社には、『先輩を見習い、こうすればこうなる』というキャリアアップ計画やモデルが存在していません。だからこそ、自分自身のキャリアを考えた時に、行動可能な仕組み作りや環境作りが重要だと考えています」と本多部長代行。

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