「4C+T」に基づいた360度評価
トレンドマイクロには、企業理念の中に示される「私たちの存在価値『4C+T』」という言葉があります。社員の日常業務の基盤となっている「4C+T」という5つの価値は、次の通りです。
- Creativity(創造性)
- Communication(コミュニケーション)
- Change(変化)
- Customer(顧客)
- Trustworthiness(信頼性)
同社では、この価値に基づく行動規範を設けており、本人があらかじめ選定した8人以上の評価依頼者が社員の価値を評価します。評価依頼者は上司、同僚、部下、他部門、顧客などさまざまで、それぞれが約20の項目を評価してその統計を取る「360度評価制度」です。また、単なるノルマの管理ではなく、成果主義に基づいたマネジメントシステム「PDP(Performance Development Process)」や、職務等級制度、社員満足度調査など、数々の評価方法を取り入れています。
本多部長代理は、「現在私たちは、2秒に1つのウィルスが発生しているというすさまじいインターネットの脅威に直面しています。次々と新しい脅威に対応することが求められる中、従来のように会社の命令によって行動を起こすようでは求められるものに追いつけない。社員が自立的に考え、行動する仕組みや評価制度を持つことは、弊社のビジネスにとって必要なことです」と話しています。
こうして一見スピード感あふれる職場でありながらも、Chang氏の創業以来の思いは「自宅にいる時と同じように、リラックスできる環境で仕事をしてほしい」というものだそうです。「やはり、リラックスして好きなことをしている方が、モチベーションも上がるし上達も速い。的確な職種に属さなかったためにせっかくの力が出し切れなかったり、キャリアアップができなかったりするのはもったいないことです。新しいポジションができた時、社内で優秀な人材が確保できればそれに越したことはない。居心地のよい環境の中で、いろいろなキャリアの経験を最大限に生かしてほしいと願っています」と本多部長代理は話しています。
自分のキャリアは自分で切り開く。それを会社がバックアップする。シンプルなキャリアプランでありながら、とても柔軟で力強い戦略ではないでしょうか。
同じ制度を取り入れていても実際には形だけという企業もある中、単なる制度で終わらせないために環境を整え、適材適所を模索し、人材を出す側も受け入れる側も歓迎する――この考えと姿勢を全社員が持っているからこそ、制度としてうまく行っているのではないかと強く感じました。
それでは、今回はこの辺で! あなたの会社のユニークな制度についての情報も、ぜひお寄せくださいね。
「あったらいいな」を実現する企業:ファイル7 | |
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社名 | トレンドマイクロ |
事業内容 | コンピュータおよびインターネット用セキュリティ関連製品・サービスの開発と販売 |
設立 | 1989年10月 |
従業員数 | 4120名(2008年12月末) |
資本金 | 183億8600万円(2008年12月末) |
本社 | 東京 |