トレンドマイクロは9月2日、総合セキュリティソフト「ウイルスバスター2010」を9月4日から発売すると発表した。ウイルスバスターとしては初めてMac OSに対応した「ウイルスバスター for Mac」を同梱し、Windows/Macを問わず3台のPCまでインストールできる。価格はパッケージ版(1年版)が5980円で、クレジットカード不正利用保証やPCサポートが付属した「ウイルスバスター2010+保険&PCサポート」は7980円。ダウンロード販売は2日から行われ、ダウンロード1年版が4980円など。
ウイルスバスター2010の最大の特徴は、従来と価格据え置きでWindows版とMac版の両方を同梱したこと。Mac版は、ウイルスやスパイウェア対策、フィッシング詐欺対策、有害サイト規制といった機能を搭載。パーソナルファイアウォールはMac OS X付属の機能に任せ、まずはMac版の投入を優先したという。今後、さらなる機能強化も検討していく考えだ。
Mac OS Xは、堅牢なOSとして定評があるが、シェアが小さいために攻撃自体が少ない。しかしウイルスなどの攻撃がないわけではない。すでに「Mac OSを対象とした攻撃は確認されているほか、偽サイトに誘導して個人情報などを盗むフィッシング詐欺はOSに依存しない攻撃のため、Macユーザーも対応が必要」と同社のマーケティング本部コンシューママーケティンググループプロダクトマネージャーの長島理恵氏が説明する。
しかし、Macユーザーには「Macは安全という神話がある」とマーケティング本部コンシューママーケティンググループ部長の吉田健史氏は指摘。Macユーザーのセキュリティソフト利用率は50.8%で、セキュリティソフトの市場全体のMac対応ソフトの割合は7.6%にとどまり、店頭でもセキュリティソフト全体の1%強の売り上げしかないとしている。販売価格もWindows版の約1.8倍と高額になってしまっており、購入できる店舗も少ないといった現状があるという。
それに対して同社では、Windows版にMac版を同梱。同社調査ではMacユーザーの70%以上がWindowsも併用しており、MacとWindowsのデュアルライセンスで提供し、1つのライセンスでWindows/Macを問わず3台までのマシンにインストールできるようにした。1パッケージで提供することで、より多くの店頭に置かれ、さらに多くのユーザーを獲得したい考えだ。
Windows版の新機能としては、新たに「Trend Micro Smart Protection Network」対応機能を搭載した。ウイルスバスターにはファイルの振る舞いを分析することで、不正なプログラムかどうかを検査してブロックする機能が備わっていたが、不正プログラムとして判断されたファイルを自動的にトレンドマイクロに送信する「スマートフィードバック」機能により、不正プログラムの情報が同社に集積される。
これを解析することでパターンファイルの更新などに役立てる機能で、同社では検体を収集しにくい標的型攻撃などで効果を発揮するとみている。初期設定では同機能はオンになっているが、インストール時にオフにできるほか、設定からも機能オフが可能だ。
さらに前版に比べ、起動時間を約3割改善し、クイック検索時間も約2割高速化して軽量性を向上させた。また、動画閲覧時やプレゼンテーション時など、全画面表示している時にクイック検索やアップデートを抑制したり、レジストリやキャッシュをクリーニングするなどしてPCの動作を改善させる「システムチューナー」を、1カ月に1回自動で行うようにした。アイドル時間にアップデートを行うなど、「ベンチマークに表れない軽快感」(長島氏)にも配慮したという。
ウェブサイトのフォームに入力するキーを暗号化する「GuardedID Standard」も機能強化され、従来のパスワード欄に加えてすべてのフォームのキー入力を暗号化するようになった。
同社のエグゼクティブバイスプレジデントである大三川彰彦氏は、2008年に国内シェアで個人向け、法人向けのいずれもシェア1位を獲得したことから、リーディングカンパニーとしての使命を果たすとして、製品の強化に加えて啓蒙活動やゲーム機やモバイル端末などの製品拡張を続けていく考えを示す。2008年はウイルスバスターで1000万ライセンスを突破。2009年は1100万ライセンスを目標に販売を強化していく。