ノークリサーチは10月27日、2009年の国内中堅中小市場におけるデータウェアハウス(DWH)およびBIアプリケーションの利用シェアと評価に関する調査結果を発表した。調査対象とした企業は、年商5億円以上から500億円未満を中心とした民間企業で、ノークリサーチが所有する全国の企業データベースの中から約5000社を抽出した。調査期間は2009年6月から9月の間で、有効回答票は1480件。
まず、DWHおよびBIアプリケーションの導入形態については、88.5%がパッケージを、11.5%が独自開発システムを導入しているとの結果が出た。この結果についてノークリサーチでは、「DWHやBIはユーザー企業が抱えるデータ活用の課題を解決する手段としてベンダー側がパッケージを主体に提案する形で登場してきた経緯がある」と見ている。その一方で、中堅中小企業も「見える化」への関心を高めており、それに応える形でSAPの「BusinessObjects OnDemand」のようなSaaS形態も登場してきているため、「パッケージ主体の状況は変わらないが、対象となるユーザー企業層を広げる形で今後はASPやSaaS形態の比率が徐々に増えていく」と予想している。
現在導入済みのパッケージ製品のシェアについては、サンプル数177のうちウイングアークテクノロジーズの「Dr.Sum EA」が29.4%、SAPジャパンの「SAP BusinessObjects」が16.9%と、2008年に引き続き上位2製品が3位以下の製品を引き離している。しかしノークリサーチでは、現在シェア7.9%となっている日本IBMの「Cognos」や、同じく7.9%の日本オラクルの「Oracle Business Intelligence」が中堅企業向けの製品展開を活発化させており、大規模なDWHを構築せずに導入が可能な中堅中小企業向けBI製品という観点では、「これら4製品が今後のシェア争いにおける中核をなすものとなるだろう」と予測している。
一方で、新規導入または今後も継続利用する意向のあるパッケージ製品のシェアは、サンプル数が53とやや少ないため参考にとどめる必要があるが、Dr.Sum EAが39.6%、Oracle Business Intelligenceが18.9%、SAP BusinessObjectsが15.1%となった。ノークリサーチは、今後ERPなどの基幹系業務システムとの連携を強みとする日本オラクルやSAPジャパンなどの外資系ベンダーがさらに存在感を増してくると予想しており、「これら外資系ベンダーを、帳票に起源を持つ国産ベンダーであるウイングアークテクノロジーズが迎え撃つ構図になっている」としている。
利用シェア上位5製品に対するユーザーの評価は、評価の高い順に、シェア4位のOracle Business Intelligenceが72.9ポイント、シェア5位のアシスト「WebFOCUS」が72.5ポイント、シェア1位のDr.Sum EAが71.5ポイント、シェア2位のSAP BusinessObjectsが64.7ポイント、シェア3位のCognosが62.9ポイントとなった。SAP BusinessObjectsやCognosの評価が低めだが、ノークリサーチは「両製品とも中堅中小企業向けの製品展開を開始したばかりで、本格的な評価判断はこれからが本番」としている。また、中堅中小企業では、「本格的なDWHを構築することなく、既存のデータを手軽に見える化できるかが重要な評価ポイントとなる」とした。