明治大学は日立製作所(日立)と共同で、大学向けに米国で開発されたアプリケーションソフト提供システム「Virtual Computing Lab.(VCL)」を活用したキャンパス内のクラウドシステムを、日本の大学として初めて構築すると発表した。同大学では、10月から理工学部の一部の教員や学生約400人で試行を開始し、その後在学生約3万人への適応の拡大を目指すという。
VCLは、米ノースカロライナ州立大学が開発し、Apache Software Foundationが管理するソフトウェア。仮想マシンの利用予約やリソース管理などにより、大学の運用形態に合ったオンデマンドでのサービス提供を実現するという。同大学は、これにより、教員や学生は、自宅など学外でも大学内のPC教室や研究室と同じ環境でPCを使用できるようになり、研究や学習環境の大幅な向上が期待できるとしている。
同システムでは、授業や研究でPCを用いる際、インターネットを介したクラウド環境で、アプリケーションソフトが利用可能となる。利用者は仮想的なPC環境が用意されたサーバに接続するため、基本的に、CPUなど機器の性能に依存することがない。また、携帯電話などから事前予約することにより、どのPCからでも各種アプリケーションを利用できるという。そのため、環境が整ったPC教室が空いていないために授業ができないといった、物理的な制約に縛られることはなくなるという。また大学としても、学内に設置されたすべてのPC環境の構築やメンテナンスといった作業が減ることになり、大幅な運用コストの削減が見込めるとしている。
同システムでは、まず日本語、英語および中国語による利用環境を提供する。将来的には韓国語などを含むさまざまな言語を追加していく予定だ。明治大学は、多言語に対応した今回のシステムを用いて、留学生など外国人学生の教育を推進するとしている。日立は、今回の明治大学におけるシステムの構築ノウハウを活用し、新たな大学向けソリューションの早期開発と提供を図っていく方針という。