キヤノンMJ、ECM連携の業務アプリをSOAで構築できるサービス基盤を提供

田中好伸(編集部)

2010-09-29 17:21

 キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は9月29日、企業向けコンテンツ管理システム(ECM)と連携した業務アプリケーションをサービス指向アーキテクチャ(SOA)で構築できるサービス基盤「ECM拡張サービス」を10月1日から提供することを発表した。

 キヤノンMJが提供する「Open Text Content Lifecycle Management」を対象にしている。ECM拡張サービスは、コンテンツの操作や管理などの機能をあらかじめWebサービス化する。Webサービスは、Java Community Processによって規定される標準仕様「JAX-WS」に準拠しており、SOAの手法を用いることでECMと連携した業務アプリケーションを構築できる。オブジェクトサービスやワークフローサービス、認証サービス、メンバーサービス、バッチサービスに区分された約70のWebサービスから構成される。

 ECM拡張サービスを利用することでシステム開発者は業務アプリケーションごとに必要なECMの機能をWebサービスとして呼び出して、簡単に実装できるようになる。別の業務アプリケーション開発でも再利用することができる。新規で開発する場合に比べて、3〜5割程度の工数削減を見込めるという。Webサービスは、キヤノンMJがこれまで手掛けたECMの実績に基づいて最適な粒度設計がなされているため、実際のビジネスに則した効率的な開発が可能になるとしている。

図 キヤノンMJのECM全体図

 現在、企業で活用されているECMは「部門最適システムであり、サイロ化が進んでいる」とキヤノンMJの鮫島真氏(BSマーケティング統括本部ドキュメントソリューション企画部ECM企画課課長代理)は指摘する。生産管理部なら図面管理システム、商品事業部であれば契約書管理システム、法務部では契約書管理システムと、それぞれの部門ごとのECMが乱立するとともに、パッケージだったりスクラッチ開発だったり、と保守性も悪いといわれるようになっているという。

 現在はありとあらゆる文書が電子化されて、ファイルが爆発的に増加しており、ECMの運用管理の負荷も高くなっているのが実情ともいわれる。加えて、エンドユーザーからはECMの使い勝手の向上を求められている。ECMとはいっても、生産管理部が求める図面管理システムのユーザーインターフェース(UI)と法務部が求める契約書管理システムのUIが同じものでは、使い勝手が悪くそれぞれの業務効率が落ちることになる。

 ECMは契約書などのコンテンツを蓄積するものであり、そこでは法令順守(コンプライアンス)の姿勢が問われることになる。不必要となったコンテンツをしっかりと廃棄したかどうかの管理が重要となってくる。

 今回キヤノンMJが提供するECM拡張サービスは、ECMを業務アプリケーションと連携させるときに、そうしたECMの最近の課題に対応するものと説明する。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  2. ビジネスアプリケーション

    改めて知っておきたい、生成AI活用が期待される業務と3つのリスク

  3. セキュリティ

    「2024年版脅威ハンティングレポート」より—アジアでサイバー攻撃の標的になりやすい業界とは?

  4. ビジネスアプリケーション

    Google が推奨する生成 AI のスタートアップガイド、 AI を活用して市場投入への時間を短縮

  5. クラウドコンピューティング

    生成 AI リスクにも対応、調査から考察する Web ブラウザを主体としたゼロトラストセキュリティ

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]