Microsoftと国立情報学研究所(NII)は10月1日、日本の研究者向けにクラウドリソースを提供する共同プログラムの開始を発表した。
NIIが文部科学省の科学研究費補助金をもとに展開する共同研究「情報爆発時代に向けた新しいIT基盤技術の研究(情報爆発プロジェクト)」において、Microsoftのクラウドサービス「Windows Azure」のリソースを日本の研究者に提供する。Microsoftが公的研究機関とグローバルに連携するのは、米国を除いて日本が初めてだという。
研究者は現在、コンピュータで大量のデータを共有、分析して研究を続けている。しかし、インフラやストレージ、コンピュータの処理能力などに悩まされ、「研究者がコンピュータの管理者のようなことをしなければならなくなっている」(Microsoft エクストリームコンピューティンググループ担当コーポレートバイスプレジデントのDan Reed氏)状況だ。Reed氏は「デスクトップの何万倍の能力が必要となるものをどう解決していけばいいのかが課題」とプログラムの意図を説明する。
情報爆発プロジェクトでは、Microsoftから提供されるクラウド環境にて、超大規模ウェブテキストの構文・格解析を進めるほか、大規模クラウド連携やインタークラウド間の大規模データ転送などの研究を進める予定。
情報爆発プロジェクトは、飛躍的に増大する情報に対処するための新技術創造を目的として2005年7月に発足されたもの。2010年度でプロジェクト自体は終了するが、「コラボレーションの内容によっても変わるが、最低1年はやっていく」(Reed氏)、「まずは1年実施し、3年程度での成果を期待してやっていきたい」(情報爆発プロジェクトの代表で東京大学生産技術研究所教授で国立情報学研究所客員教授の喜連川優氏)としている。