日本IBMは1月20日、WebSphere事業の戦略と、その戦略に基づいた新製品「IBM WebSphere Lombardi Edition V7.2」を発表した。
日本IBM 理事 ソフトウェア事業 WebSphere事業部長の伊藤久美氏によると、2011年のWebSphere事業戦略は「クラウドとBPMにより、ビジネスの俊敏性を支援すること」だという。そのための施策として、「クラウド製品群を強化するとともに、“効果が見える”業務プロセスの変革を推進する」としている。
クラウド製品群としては、まず2010年12月16日に出荷を開始した「IBM WebSphere Cast Iron」がある。同製品により、「これまで困難だったクラウドサービスと基幹システムとの連携が可能になる」と伊藤氏。連携パターンはテンプレートで提供されるため、開発期間が短縮できるという。
また、事業戦略や業務プロセスの文書化と共有をSaaSで提供する「IBM Blueworks Live」も、英語版ではあるが2010年11月20日に出荷を開始した。これは、業務ユーザーや企画部門向けの業務プロセス記述サービスで、99種のテンプレートが用意されているためプロセスの作成が容易になるという。
“効果が見える”業務プロセスの変革に向けては、IBMが2010年1月に買収したLombardi SoftwareのBPM製品をWebSphereのラインアップに追加、「IBM WebSphere Lombardi Edition V7.2」として1月21日より出荷を開始する。Lombardiの日本語版は、今回が初めての提供となる。
Lombardiは、モデリング、開発、ユーザーインターフェース、システム連携など、BPMアプリケーションの構築に必要な機能をオールインワンで提供する。BPMプロジェクトを反復型開発で実現するため、13週間(3カ月)でアプリケーションを分析、設計、構築し、効果測定までできるという。
中でも「Lombardiはヒューマンセントリックな部分に強い。例えば、承認系に代表されるワークフローなどがそれにあたる」と日本IBM ソフトウェア事業 マーケティング担当の渡辺隆氏は説明する。また、「BPMにはパフォーマンスを管理するアクティビティモニタリング機能があるが、そのための評価指標を設定することがわれわれ日本人はあまり得意でない。それを自動生成するのもLombardiの特徴だ」(渡辺氏)としている。
Lombardiの販売対象となるのは、「IT部門はもちろんのこと、経営企画や改革プロジェクトなど、プロセス改革に直接的な役割を持つ部門や人々」と伊藤氏。そのため、直販に加え、BPMコンサルティングの経験が深い企業とパートナーシップを組み、ライセンスのみならずサービスもあわせて提供する予定だという。また、WebSphere事業部内に、Lombardiの営業、技術、マーケティングを担当する専任部隊を約10名体制で設置、パートナー企業のリクルーティングや教育、共同でのビジネスプランの策定などを行うとしている。