日本IBMは12月10日、パブリッククラウドと企業内システムを短期間で連携できるソフトウェア「IBM WebSphere Cast Iron」製品群を12月16日より提供開始すると発表した。同製品は、5月にIBMが買収を発表したCast Iron Systemsとの統合後初めての製品で、日本語版は初めての提供となるという。
近年、ITコストの最適化を目的に、顧客管理など一部の業務機能に関して外部のパブリッククラウドサービスを利用する企業が増えている。一方、外部のパブリッククラウドサービスと社内の基幹アプリケーションとのデータを連携させるには、一般的に数カ月をかけて連携プログラムを開発する必要があったという。
IBM WebSphere Cast Ironは、パブリッククラウドアプリケーションと、パッケージ製品を含む企業内基幹システムとを、迅速に連携させるための製品。「顧客情報の一元的な閲覧」「企業全体での発注情報をCRMアプリケーションから1つの画面で閲覧」「各システムで分散して保有している顧客情報の一元管理」といった連携パターンがあらかじめテンプレートで定義されているため、連携のためのプログラム開発が不要となる。これにより、開発やメンテナンスのコストを大幅に削減できるとしている。米国の事例では、連携プログラムを開発する場合と比較して80%のTCO(総保有コスト)を削減しながら、通常数カ月かかるシステム連携プロジェクトを、わずか数日で実現した例もあるとする。
IBM WebSphere Cast Ironは、一般的なSaaSや基幹アプリケーションなどを標準でサポートしているという。提供形態としては、ハードウェアと一体になったアプライアンス型の「IBM WebSphere DataPower Cast Iron Appliance XH40」とソフトウェア単体の「IBM WebSphere Cast Iron Hypervisor Edition」の2種類が用意されている。
IBM WebSphere Cast Ironシリーズの提供価格は、IBM WebSphere DataPower Cast Iron Appliance XH40が、年額で257万4000円から、一括で643万5000円から。IBM WebSphere Cast Iron Hypervisor Editionは、 1年間のバージョンアップと保守料金を含むPAX料金が、年額で171万6000円から、一括で429万円からとなる。