IDC Japanは2月28日、データセンターアウトソーシング市場の国内地域別予測を発表した。データセンターアウトソーシングとは、顧客企業の情報システムのサーバをデータセンターで監視、運用するサービスのこと。
同予測によると関東地方にあるデータセンターの2010年のシェアは国内市場の72%で、金額ベースでは3575億円に達しているという。さらに東京都23区内のデータセンターだけを取り出すと、そのシェアは34%となっているという。関東地方のデータセンターのシェアは2014年までの期間も順調に拡大し、2014年には77%、金額ベースで4561億円に達するとIDCでは予測している。
データセンターアウトソーシングには、サーバ設置場所を貸し出す「コロケーション」と呼ばれるサービスと、データセンター事業者が所有するサーバを顧客に提供する「ホスティング」と呼ばれるサービスがある。今回の調査は、コロケーション市場について実施したものだという。
大規模なデータセンターは、東京都23区内を中心とした関東地方に多く存在している。また東京都23区内には、サイト運営やネット通販などのネット企業の本社が多く存在しており、これらの企業が自社に近いデータセンターのサーバールームを大規模に利用していることも、東京周辺のデータセンターのシェアが高い理由だとしている。
さらに、2011年以降、東京都周辺の地域には大規模データセンターの開設が予定されており、特に東京都23区外の地域、神奈川県および千葉県にも大規模な計画があるため、これらの地域のシェア拡大が加速する見込みだ。しかし、その一方で、景気後退の影響でデータセンターアウトソーシングの需要が伸び悩んでいるという。IDCでは、こうした状況における新たな大規模データセンター開設は、サービス価格の低下圧力を強めることになると予測している。
IDC Japan、ITサービス リサーチマネージャーの伊藤未明氏は「いったん低下した価格は、景気回復期になっても元の価格水準に簡単に戻るようなことはないだろう。データセンター事業者にとっては、システム運用の効率と品質向上によって、サービスの差別化を図ることが重要となる」とコメントしている。