IDC Japanは2月14日、国内IT市場における主要ベンダーの2010年上半期(1~6月)の製品ポートフォリオとビジネス戦略の分析を発表した。これによると各主要ベンダーの2010年上半期の国内売上額は、世界経済危機の影響を受けた2009年からは回復の兆しがみられるとしている。
IDCは今回、日本IBM、NEC、富士通、日立製作所(日立)、日本ヒューレット・パッカード(日本HP)、東芝(含む東芝ソリューション)、デル、日本マイクロソフト(マイクロソフト)、日本ユニシス、SAPジャパン、NTTデータの主要ITベンダー11社について、IT製品を16種類に分類し、2007年上半期から2010年上半期の国内売上額を半期ごとにまとめたとしている。その結果、主要ITベンダー11社の2010年上半期の売上額合計は、2009年上半期と比べて1.1%減のマイナス成長となっているが、前年同期比マイナス10.1%だった2009年下半期の成長率と比較すると、底打ちの傾向がみられるという。
一方、2010年上半期の売上額上位は、富士通、NEC、日立、日本IBM、NTTデータ、日本HPとなった。このうち総合ベンダー5社(富士通、NEC、日立、日本IBM、日本HP)の2010年上半期IT製品売上額合計は2兆9177億円、前年同期比0.5%減のマイナス成長となったとIDCは説明している。
しかし各社の成長率をみると、富士通は2.6%、NECは1.8%、日立はマイナス7.8%、日本IBMはマイナス1.5%、日本HPはマイナス0.7%と、プラス成長とマイナス成長に分かれた。IDCでは、総合ベンダー5社の中でプラス成長を示した富士通とNECについては、ハードウェア、ソフトウェア、ITサービスの構成比のバランスが良く、景気停滞時にも比較的抵抗力のある事業構造がその要因だと分析している。
これらから、日本は景気停滞から徐々に回復の道を進んでいるが、IT業界では大きな変化が生まれていると指摘。製品別の傾向で、特にハードウェアの落ち込みが大きくなっているという。その理由としてIDCでは、景気低迷によるユーザー企業のIT支出の抑制のほかに、ハードウェアの低価格化、仮想化および統合化、クラウドコンピューティングの利用が進んだことなどを挙げている。
IDC Japan、ITスペンディング シニアマーケットアナリストの福田馨氏は、こうした状況に対応するために、「ITベンダーは、国内ハードウェア市場が縮小していく現実をとらえ、性能や機能を提供する箱売りだけでなくサーバの仮想化や統合化など、コスト改善にまで至るソリューションも組み合わせたビジネスの推進、あるいは新興国でのビジネス強化など、ビジネス戦略の再構築に注力すべきだ」とコメントしている。