4:優れたエンコーディングツールを見つけ出す
動画をエンコーディングする方法はたくさんある。例えばOpenShot Video Editorといったツールには、Linuxプラットフォーム上で利用できる一般的なエンコーダを同アプリケーションから使用可能にするためのフロントエンドが組み込まれている。また、こういったツールを使ってエンコーディングを行いたくないという場合でも、すぐに利用できるツールが複数存在している。優れたビデオエンコーダの1つとして、「MEncoder」というコマンドラインツールを挙げることができる。MEncoderは中核となるコードを「MPlayer」と共有しているため、MPlayerが再生できる形式や、MPlayerが提供しているフィルタをすべてサポートしている。ただ、MEncoderは簡単なツールとは言い難いため、初心者は単体で使用するのではなく、優れたフロントエンド(例えばCDやDVDのエンコーディングやリッピングには「AcidRip」といったツール)を使用する方がよいだろう。なお、MEncoderの典型的な使用例は以下の通りである。
mencoder ./Video/TEST/VTS_1.VOB -o ./Video/test.avi -of avi -oac copy lavc -lavcopts vcodec=mpeg4
ちなみに上記は、.VOB形式のファイルを.avi形式に変換する際のコマンドの例である。
5:適切なビデオキャプチャボードを選択する
Linux環境には、「MythTV」と「MythBuntu」という形態の、もう1つの世界が存在している。これは、PCをデジタルビデオレコーダーにするという目的に特化して開発されたディストリビューションである。この世界に飛び込むことで、ケーブル会社が提供する出来の悪いデジタルビデオレコーダー(DVR)を捨て去って、パワフルでメディアフレンドリーなLinuxディストリビューションを使用できるようになるというわけだ。また、録画したビデオから一部をサンプリングし、自らのビデオコンテンツに取り込むことも可能になる。ただ、ここで問題がある。どのようなビデオキャプチャソフトウェアを使用するにしても、それに見合った適切なキャプチャボードを用意する必要があるのだ。しかしLinuxの世界では、こういった問題が簡単に解決するとは限らない。デジタルリソースを取り扱おうとするのであれば(今時、アナログリソースのみを対象にしている人などいるのだろうか?)、取り得る選択肢は1つしかない。現在のところMythTVがサポートしているデジタルリソースのキャプチャ方式は、互換性のあるセットトップボックスとのFireWire接続のみとなっているのだ。MythTVがサポートしているセットトップボックスについては、このページのリストを参照してほしい。もしも、アナログリソースの道に進みたいのであれば、Hauppaugeのボードがお薦めだ。MythTVがサポートしているHauppaugeのキャプチャボードについてはこのページのリストを参照してほしい。
労力をかける価値がある
Linux環境でビデオコンテンツを制作するからといって、必ずしも茨の道を歩むことになるとは限らない。確かに、Windows環境に比べると、乗り越えなければならない問題は多いだろう。しかし結果は、投資した時間にしっかり見合ったものとなるはずだ。最終的に、信頼性に優れたプラットフォーム上で、プロ仕様のソフトウェアにコストをかけることなく、プロ並みの品質のビデオコンテンツを制作できるようになるのである。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。