シマンテックは6月29日、企業が仮想環境やプライベートクラウド、ハイブリッドクラウド環境への移行をどのように計画しているかを調査した「2011 Virtualization and Evolution to the Cloud Survey」(英語)の結果を発表した。日本を含む世界35カ国3700人以上が回答している。
調査では、サーバ、クライアント、ストレージの仮想化、サービスとしてのストレージ(Storage as a Service)、ハイブリッドクラウドやプライベートクラウドなどのトピックにハイライトを当て、その結果から企業がこれらを導入する際の期待と現実のギャップを明らかにしている。最高経営責任者(CEO)や最高財務責任者(CFO)は、信頼性やセキュリティ、可用性、パフォーマンスなどの課題を理由に、ビジネスクリティカルなアプリケーションの仮想環境またはクラウド環境への移行に懸念を示しているという。
サーバ仮想化の導入が拡大しており、企業の75%以上がプライベートクラウドやハイブリッドクラウドの導入を検討している。サーバ仮想化とストレージ仮想化が最も成熟しており、それぞれ45%と43%の企業が実装していた。期待と現実のギャップも4%と少なかった。拡張性、設備投資の削減、運用費の削減にギャップがあったという。
ストレージ仮想化での期待と現実の落差は平均33%で、敏捷性、拡張性、運用費の削減で期待値を下回った。エンドポイントやデスクトップ仮想化では、期待と現実の落差は平均26%。新しいエンドポイント配備、アプリケーション配信、アプリケーションの互換性で、期待値を下回った。
企業の77%がプライベートなStorage as a Serviceを検討しているが、実装が難しく37%が期待を下回っている。たとえば、複雑さの軽減は回答者の84%が目標としていたが、達成したのはわずか44%であった。
仮想化を実装している企業の半数以上(59%)が今後12カ月以内にデータベースアプリケーションの仮想化を計画しており、55%がウェブアプリケーションの仮想化を、47%がメールやカレンダーの仮想化を計画している。ERPアプリケーションの仮想化を計画している企業も41%に上り、企業がビジネスクリティカルなアプリケーションに対して仮想化を活用しつつあることが明らかになっている。
一方、回答者の半数以上(56%)がサーバ仮想化によってストレージコストがやや、またはかなり増加したと答えている。ストレージ仮想化を進めている回答者で導入理由の上位3つは、「運用費の削減(55%)」「ストレージパフォーマンスの改善(54%)」「ディザスタリカバリ対策の改善(53%)」であった。
サーバ仮想化を実装した企業の76%が、ビジネスクリティカルなアプリケーションの仮想化サーバへの配置を妨げる、若干のまたは非常に大きな要因として「セキュリティ」を挙げた。
シマンテックでは、エンタープライズITのクラウドへの進化には課題も多くあるが、大きなメリットもあるとしており、(1)仮想化およびクラウドイニシアチブにおいてIT部門と経営陣の足並みを揃える、(2)クラウドコンピューティングを縦割りで運用しない、(3)既存のインフラストラクチャを活用し、最新にする、(4)現実的な期待値を設定し、結果を追跡する――の4つを推奨事項として挙げている。