解説:iCloudが切り開くパーソナルクラウド--Lion Serverの機能から考える

福田 昌弘

2011-09-22 09:00

 「Appleが予告しているiCloudはいつ始まるのだろう」と考えていたときに、ふとMac OS X 10.7 Lion Serverのプロファイルマネージャとの関係が気にかかった。

 知ってのとおり、iCloudはAppleが提供するクラウドサービスの名称。iPhoneやiPod touch内の音楽や写真を、その場で自動的に自分のiPadやMacBookなどに送ることができるサービスだ。つまり、ユーザーは何も操作せず、いっさい意識することなく、自分が所持しているデバイス間でデータを同期できる。

 iCloudが提供されると、例えばiPhoneを使ってiTunes Storeで購入した木村カエラの新曲が、購入した途端にMacBookやiPadのiTunesにも現れ、その場で自由に聴くことができる。つまり、iTunes Storeでの購入履歴が記録され、その後いつでも好きなデバイスで、たとえそのデバイスが音楽や映画を購入後に買い足したものであっても、自由に見たり聴いたりできる。もう、音楽CDや映像DVDを大切に書棚にしまっておく必要はない。手持ちのPCのハードディスクに溜め込んでおく必要もない。

 iTunes Storeでの曲購入と同様のデータ同期は、写真、書類、電子書籍、アドレス帳、カレンダー、メールでもできる。これまでユーザーが個人でPCに保存していたあらゆるデータが、インターネットの向こう側にあるクラウドシステム上に置かれ、いつでもどこからでも好みのデバイスで一瞬のうちに扱えるようになる。思い立ったときに自由にデータを扱えるという、すてきな世界がやってくるのだろう。

 iCloudのようなクラウドサービスが提供されることで、個人が自宅のPCに保存しているデータは今まで以上に便利に使えるようになる。しかし、個人が会社内などの「仕事場」で扱っているデータは、いままでどおり職場のPCを使ってアクセスするしかないのだろうか。機密保持や不正アクセス防止などのためのセキュリティ確保が必要なことは分かる。しかし、外出先からデータを参照できたり修正できたりしたら、それもデバイスを意識せずに扱えたら、かなり便利になるだろう。

 こんなことを考えていたときに、Lion Serverのプロファイルマネージャの機能が1つのキーになるのでは?と思った。

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