スペインのバルセロナで10月26日から28日にかけて開催されたCitrix Systems(シトリックス)のカンファレンス「Citrix Synergy 2011 Barcelona」。その基調講演では、CEOのMark Templeton氏により、同社が提唱する「3PC」のコンセプトに基づいた新製品やサービスが披露された。
3PCとは「Personal Cloud」「Private Cloud」「Public Cloud」のこと。フロントエンドとなる「Personal Cloud」については、既に別の記事で紹介している。
この記事では、企業内の情報システムにあたる「Private Cloud」、そして商用XaaSにあたる「Public Cloud」についての同社の最新の取り組みを紹介する。
「必要なアプリとデータを集約する」--企業ITの新たな役割
シトリックスの言う「3PC」のコンセプトによれば「Private Cloud」が担う重要な役割のひとつは、企業内、さらには企業外(パブリッククラウド上)で提供されるさまざまなアプリケーションとデータをアグリゲート(集約)し、利用者のPCやデバイスに対して配信を行うことである。
この役割を果たすためには、Private Cloudとエンドユーザーとの間に、デバイスの利用者個人を認証し、適切なアプリケーションとデータを配信する役割を持ったサービスブローカーを置くことが必要だ。この機能を提供するのが、今回のSynergyでプレビュー版の提供が発表された「Citrix CloudGateway」である。
Templeton氏は、IDCによる「企業で使われるアプリケーションのプラットフォームごとの割合」に関する予測をひき、「2015年には、現在16%となっているSaaSアプリケーションの割合が25%、モバイルアプリケーションの割合が5%から13%と大きく変化する。これは、動作するプラットフォームを越えて、アプリケーションをアグリケートする必要性が、大きく増していくことを示す」と述べた。
CloudGatewayは、同社のXenAppやXenDesktopといった基盤上で配信されるアプリケーションに加え、ウェブアプリケーションやSaaS、携帯デバイス向けアプリといった幅広い形態のアプリケーションを、統一されたスキームでエンドユーザーに提供するためのゲートウェイとなる。ユーザー側から見た場合のルック&フィールは、AppleがiOS向けに提供しているApp Storeに近いものとなっており、そこから自分の業務に必要なアプリケーションを選択し、利用する形となる。もちろん、Citrix Receiverが動作するあらゆるプラットフォームからのアクセスが可能だ。
また、CloudGatewayには、XenAppとXenDesktopによるWindowsアプリケーション配信のみに対応した「Express」版が用意され、こちらはXenApp、XenDesktopのユーザーに無償で提供される。ウェブアプリケーションやSaaS、モバイルアプリの配信にもCloudGatewayを利用したいユーザーは「Enterprise」版にアップグレードする形になる。「あらゆる環境で業務を行う従業員に対し、必要なアプリケーションをサービスとして配信する」というPrivate Cloudの役割を分かりやすく具現化する製品となるようだ。