MSとCTC、クラウドHPCソリューションで協業--ビッグデータ時代を視野に

柴田克己 2011年11月10日 17時46分

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 伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)と日本マイクロソフトは11月10日、両社の持つデータセンターを連携させた、クラウドによるHPCソリューションを共同で提供すると発表した。両社によれば、Windows Azure Platformを使ったHPCソリューションの提供は国内初だという。

 協業によるソリューションでは、CTCの構築する高速演算処理のためのHPC環境と、Microsoft Windows Azure Platformとを連携させることで、システム投資を抑えつつ、計算処理量の急激な変動に対応できるHPC環境を提供する。当初は、保険会社を中心とした銀行、証券業、信販業などの金融業界向けに、リスク計算などにおける一時的な計算処理量の増加に対応するソリューションを開発し、CTCと日本マイクロソフトが共同で営業展開を行うとしている。

伊藤忠テクノソリューションズ取締役兼専務執行役員の藁科至徳氏
伊藤忠テクノソリューションズ取締役兼専務執行役員の藁科至徳氏

 会見に出席した、CTC取締役兼専務執行役員の藁科至徳氏は、同社がこれまで金融業界のコンプライアンス、リスク管理の分野に長く携わってきたことに触れ「デリバティブ商品の複雑化や、当局による計算精密化の要請などから、金融業界では高い計算処理能力が必要となってきた」と説明する。

 金融業界のコンプライアンス分野で高い計算処理能力が求められるようになったきっかけのひとつは、IFRS(国際会計基準)の適用だという。業者は、四半期ごとに各口座について、そこで扱われた金額データを大量に計算し直す必要に迫られる。HPCソリューションは大規模な演算処理を効率的に行うために有効だが、四半期に1回、限られた期間にしか使われない計算資源を常設で確保するための投資は難しいケースが多かったとする。

 今回、両社が共同で提供するHPCソリューションは、閑散期には自社、あるいはCTCのデータセンター上で処理を行い、繁忙期において処理要求がピークを迎えた際に、マイクロソフトが持つデータセンターで稼働しているWindows Azure Platform上での分散処理を行うというもの。計算量が増えた場合のAzureへの切り替えは透過的に行われ、Azure上で利用したリソースに対しては従量制での課金が行われるという。

  • 今回の協業における両社の役割

  • 閑散期には、自社もしくはCTCのデータセンターで処理を行い、繁忙期のピーク時に従量制でAzure上のリソースを利用する

  • Azureへの分散は自動的に行われ、ユーザー側からは意識する必要がないという

日本マイクロソフト共同執行役社長の樋口泰行氏
日本マイクロソフト共同執行役社長の樋口泰行氏

 日本マイクロソフト共同執行役社長の樋口泰行氏は「(日本マイクロソフトのビジネスは)パートナーとの協力が基本中の基本。それは、クラウドの時代になっても変わらない」と述べ、2010年に提供を開始したWindows Azure Platformの活用範囲が、さまざまな分野に広がっている点に言及。今回の協業は、その「基幹系システムにおける活用の一例」と位置づけた。

 CTCと日本マイクロソフトは、両社のデータセンターを同ソリューション向けに提供することに加え、アプリケーション開発での協力、「金融HPCラボ」での共同検証、共同での提案、プロモーションを行っていくとしている。

 具体的な提供価格は見積もりベースとなるが、ピーク時性能に合わせたHPCシステムを一括で導入するのと比較した場合、今回のソリューションでは「年4回各約1カ月のピーク利用で年間コストを約7割程度削減できる」(CTC)としている。

 CTCでは、2000年台に入ってほぼ横ばいとなっている金融業界でのIT市場規模の拡大を、HPC技術の導入ニーズに期待するほか、今後は物流業界におけるビッグデータ関連の顧客分析、設計業務のシミュレーション計算分野などにも訴求範囲を広げていく計画だ。

 CTCでは、今回の協業によるHPC環境とWindows Azure Platformの連携ソリューション(金融業界向け)全体で、今後3年間に30億円の売上を目指すとしている。

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