アビームコンサルティングは3月15日、大企業の経営企画部門責任者を対象に実施した、シェアードサービス利用に関する意識調査の結果を発表した。海外展開を進める日本企業の多くが、グループ企業間や海外拠点間で経理・財務や人事といった間接業務を一本化して運用するシェアードサービスに注目していることが分かった。
「今後海外グループ会社にもシェアードサービスを広げる」と答えた企業は、以前の調査の4%から21%と大幅に増えた。以前から海外展開を進めていた日本の製造業でも、海外売上高比率は2011年度に35.9%に上る(数字は国際協力銀行)と見込まれており、10年前の24.6%と比較して10%以上増えている。
背景には、海外現地法人の規模拡大や海外企業のM&A活発化などがあり、海外業務の間接業務が重複・肥大化する傾向があるという。そこで海外でもシェアドサービスを導入するために、欧州、アジア、北米など地域別にシェアードサービスセンターを設立し、間接業務の一本化を図る企業が増えているとしている。
利用範囲は広がっているものの、導入目的は主に「コスト削減」「業務品質向上」の2つで以前から変わっていない。アビームは、グローバル化する企業のシェアードサービス運用について、地域ごとにセンターをばらばらに運用せず、東京などにマザーセンターを設置し、地域センターを管理することで「統一した戦略の発信、標準化、運用効率の管理などが可能になる」との方針。コンサルティング企業として企業のシェアードサービスの設計を支援するとしている。
調査は連結売上高1000億円以上もしくは従業員数2000人以上の東証一部上場企業を中心とした約1000社を対象にし、68社の有効回答があった。