米Raritanは8月8日、ラック用電源タップ(PDU)の製品ラインアップに400Vの高出力モデルを追加した。ラリタン・ジャパンは、受注設計モデルとして日本市場に提供することを明らかにしている。
ラックへの電源供給量需要は増加傾向にある。2006年時点の平均的なラックの電力は6kWだったが、近いうちに倍の12kWに達すると見込まれている。中には最大30kWもの電力を供給できるラックも存在する。
この電力の増加は、高密度のサーバやネットワーク機器、ストレージといったハードウェアが大電力を前提にしているからだ。このために、電源盤からラックに400Vの電力を直接供給することは、さまざまなデータセンターで広く行われているようになっている。今回のモデルもこうした状況に対応する製品となっている。
今回のモデルでは、400Vの三相電力がPDU2台に供給され、そこからサーバに対して、それぞれ230Vの単相電力を供給する。この電力量は、ほとんどのハードウェアが機能できる電力供給となる。次世代のデータセンターやコンテナ型データセンター向けの480V/277Vモデルも提供できると説明する。
今回のモデルで、ハードウェアを搭載したラックに400Vの電力供給を維持することで、電源経路の過程で電力を低電圧にステップダウンする必要がなくなる。この変換に伴う電力損失もなくすことで、消費効率も改善されると説明する。400Vの供給では、208Vと比較して、エネルギーコストを2~3%減らすことができるとメリットを強調している。
ラリタンが現在提供しているPDUは、データセンター内の環境を随時監視し、ハードウェアやラックを健全な状態に保てることから、「インテリジェントPDU(iPDU)」と呼んでいる。電力や環境の閾値をユーザー自ら設定でき、状況の改善が必要な場合はデータセンター管理者に警告することもできる。
ラックの電力やラックの吸気口の温度は現在、上昇傾向にあり、ムダな冷却を抑えつつ、十分に冷却することが求められるようになっている。ラリタンのiPDUでは、ラックの温度や湿度を追跡できるセンサを搭載している。過冷却やホットスポットの閾値を設定すれば、アラートを出せる仕組みとなっている。
iPDUはサーキットブレーカーも監視している。個々の分岐サーキットは個別に保護、監視されると同時に、ブレーカーが落ちる危険性がある場合には、事前にアラートを出す。三相のiPDUは3つのラインを監視し、ラインのバランスが崩れた時にアラートを出す。