シンクライアントの魅力は価格ではない--Wyse Technologyの戦略 - (page 2)

大川 淳

2012-10-26 09:00

--Wyseの技術が支持される理由は何か?

 エンドポイントのデバイス管理だけではなく、中間部分に当たるネットワークの管理を担うソフト、データセンター向けまで、製品ラインが多方面にわたっている。これらがなければ、シンクライアントは正しく機能しない。デスクトップ仮想化を成功させるカギは、管理ソフトにあるといっていい。

 デスクトップ仮想化を望む人々は、PCを用いる環境より安いという理由でこの手法を選択しているのではない。例えば、Citibank、Morgan Stanleyなど大手銀行、金融機関がシンクライアントを使っているのは、より安全性が高いからだ。

 つまり、データ保護のための法律に準拠しようとすると、机上のパソコンなどにデータを置いておくこと自体が許されない。セキュリティを最も重視して、当社の製品を導入した企業は、結果的にコストも大幅に削減することができた。消費電力が低く管理も容易で、機器の寿命は5~7年ほどになるなど利点は多い。

 コストの低減化の効果は顧客ごとにさまざまだが、特に電力コストでそれは顕著だ。例えばオーストラリアにある、世界的な展開をしているある旅行代理業では、シンクライアントの導入で、PCに比べ電力コストをおよそ80%削減できた。この企業は、全世界で1万4000台の端末を持っているが、管理を担当しているのはたった一人だ。これらにはすべてシンクライアント専用のOSであるWyse Thin OSが走っているが、必要なメモリ容量はわずか5MB以下だ。管理の手間はほとんどかからない。基本的にhot fix、サービスパック、さらには、ウイルス対策ソフトも不要だ。

 だからこそ、一人でも管理できる。世界的なクラウド化の潮流、時代が我々に追いついてきた。

--今後の展開についての方向性はどうなるのか

 Wyseは、日本をはじめ、中国、韓国、フィリピン、マレーシア、インドネシア、インドなど、アジア太平洋地域で今後、人員の増強を図っていく方針であり、日本を含めたこの地域では3割程度増員する。デスクトップ仮想化とクラウドは今後いっそうの成長が見込めるからだ。

 世界はクラウドへの移行にどんどん進んでいるわけだが、これは正に当社が31年間、主張してきたことであり、やっと、世界中の人々が耳を傾けてくれる時代になった。このことは、Wyseだけでなく、パートナーやチャネル、そのほか、当社とエコシステムを構築するすべての企業に多くのチャンスをもたらすだろう。シンクライアント、クラウドは単なる商品とはいえない。概念なのだから、価格競争に陥る心配もない。

 シンクライアントが広がりを見せる中で、小型デスクトップパソコン型の端末しかないのか、ノート型はないのか、との声が強くなってきた。そこで、日本市場では顧客の要望を受け、Wyse Thin OS搭載のノート型端末を日本側で開発した。

 シンクライアントを大量導入している三菱東京UFJ銀行では、5万台のうち3000台が14インチ型のノート型端末だ。大手の製造業の場合、5000台レベルで納入した例もある。他に11.6インチ型の製品も用意している。2010年ころまでは、デスクトップ型への需要が主流だったが、日本では、2011年の東日本大震災以降には、ノート型への需要が拡大してきた。特にシステム管理者の立場からすると、セキュリティ、管理のしやすさ、また、そのコストといった点が評価されており、シンクライアントは日本市場でさらに成長することが期待できる。

 Wyseの特徴は顧客の声を反映させた製品を作ることだ。ユーザーの声を吸い上げ、カスタマイズして、それぞれの、国や地域の実情に適合した製品を供給している。

 シンクライアントの普及率でいえば、日本はまだ低い。これは、日本企業が完璧主義の傾向が強いからなのではないか。それ故、日本での普及にはまだ時間がかかるだろうとみている。しかし、日本で成功を収めれば、他国でも成功すると考えている。

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