デザインとテクノロジの調和で激戦のアパレルECサイト市場を獲る--ドコモ傘下のマガシーク - (page 2)

岡田靖 怒賀新也 (編集部)

2013-07-17 07:30

顧客の変化に合わせてブランディングも変えていく

 ブランディングに関しては、顧客の年齢層の変化への対応を図っている。創業以来、いわゆるF1層(20歳から34歳までの女性)を主なターゲットとしてきたが、顧客もマガシークとともに年齢を重ねてきている。これを受けて、この1~2年ほどは30後半~40代をターゲットとした商品を厚めにしているという。

 「この年齢層は、他社では手薄な領域で、その意味でもターゲットとして重要です。また近年では、顧客の割合でいえば赤文字系が3割くらいに減り、今は青文字系(赤文字系との対比で呼ばれる、個性的かつ同性受けするファッション)の方が多数派です。サイトの雰囲気も、2012年9月までの旧サイトは赤文字系の人にヒットするような形でしたが、競合と争う上で勢いや規模感での勝負が難しいため、パーソナリティを生かす方向にしています」(石川氏)。

 顧客層の拡大は、商品ラインアップの多様性を広げることになる。以前から扱ってきたジャンルに新たなジャンルの商品が加わり、混在していくため、見せ方が難しくなってくる。一方で、ファッションに敏感な顧客を相手にしている以上、顧客に敬遠されてしまうような見た目は避けねばならない。そしてもちろん、ECサイトとしての使い勝手も重要だ。サイトのデザインには特に気を配っており、ユーザーの反応を見ながら調整を繰り返しているという。

 「デザインする上では、どれだけ引き算するかという点も大事です。顧客に伝えたいことはたくさんあるのですが、それをいかにガチャガチャしていないように見せるか。必要な情報を見やすい場所に配置しつつも、スッキリした見た目にするよう工夫しています。いつ来てもかっこいい、欲しいものがたくさんあるという状態をキープしたいですね。また、サイトの裏側ではユーザーに応じて表示内容をパーソナライズしています。例えばトップのローテーション画像は3枚ありますが、その1枚目と3枚目は季節商材などから抽出、2枚目は商品検索などの履歴を元にしたものとしています」(石川氏)。

 ちなみに、同社のサイトはiOS端末などのユーザーにも対応すべく、FlashでなくJavaScriptを使っている。「特にトップページではリスクを減らしたいので、枯れたテクノロジーを使って新しい見た目を実現するよう工夫しています」(石川氏)。

 さらに、商品を紹介する画像にも変化を加えた。もともと商社の社内ベンチャーとしてスタートしただけに、写真では色の正確さなどを重視していたが、最近では見せ方を工夫をするようにしている。その結果、撮影現場にも変化が出てきたという。

 「これまでは、会社が非常に真面目なこともあってか、実物に忠実な色で見せるのが第一優先事項でした。しかし、格好良い見せ方も大事です。もっとワクワクするような見せ方を提示するため、現場の意識を変えることにも取り組んでいます。これまで、撮影では時間あたりのカット数をKPIとしており、コストセンターという扱いでしたが、最近では、より楽しく撮ることも意識して、モデルさんの表情など引き出すよう心掛けていますし、ライティングも色を忠実に見せるだけでなく雰囲気を高める演出も取り入れるようにしました。こうして撮った写真は、新しいUI(ユーザーインターフェース)で生きてくるはずです」(石川氏)。

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