ヴイエムウェアは2月7日、記者向け説明会を開催し、2013年度の総括と2014年度の事業戦略について説明した。三木泰雄社長は、米VMwareの通期業績について、売上高が対前年比13%増の52億1000万ドルと順調に推移していると説明した。
ヴイエムウェアの三木泰雄社長
VMwareの最高経営責任者(CEO)、Pat Gelsinger氏は「2013年の好業績は顧客がわれわれのビジョンに賛同し、ソリューションの価値を把握していることの表れ。世界の多くの顧客がVMwareとの長期的な関係を元に、ビジネス基盤をモバイル、クラウド環境へと転換している」と発表文でコメント。最高財務責任者(CFO)のJonathan Chadwick氏は「2013年度は全製品領域で顧客の需要が大きく過去最高の業績だった。2014年度の業績予測も上方修正した」としている。
三木氏は2013年を振り返り、「Software-Defined Data Center」「エンドユーザーコンピューティング」「ハイブリッドクラウド」の3つを日本市場で注力してきたと説明した。
Software-Defined Data Centerに絡み、2013年に発表したネットワーク仮想化製品「NSX」を、NTTコミュニケーションズがクラウドサービス基盤に採用したことを紹介。エンドユーザーコンピューティングの領域では大阪教育委員会事務局が全府立学校向けのサーバを垂直統合型システムのFlexPodで統合し、教職員が使用する1万3000台のPCを仮想デスクトップに移行したことを紹介した。
ハイブリッドクラウドの領域では、ベネッセグループのシンフォームがIT基盤として、既にVMWareの製品で構築していた社内のプライベートクラウドとIIJのパブリッククラウドを連携させるハイブリッドクラウドのシステムを構築したことを紹介した。小中校生を対象にした教育事業を実施するに当たり、年代ごとに勉強する時間にばらつきがある点や季節ごとにシステムにかかる負荷の大きさが異なるといった事情に対応できるようにしたという。
2014年は「Software-Defined Enterprise」で
2014年について三木氏は「Software-Defined Enterpriseへの移行」を打ち出した。ソーシャルメディア、モバイル、クラウド、ビッグデータが広がっており、特に今後はモバイルとクラウドの時代になるという見解が背景にあるとする。
Software-Defined Enterpriseの具体的な意図について、三木氏は「データセンターとともにデスクトップ仮想化基盤(VDI)に焦点を当てるもの」と話す。これまで強調していた「Software-Defined Data Centerという言葉ではデータセンターのイメージが強すぎてしまっていた」という。「デスクトップ仮想化の製品を採用する企業がかなり増えてきており、エンドユーザーコンピューティングの一形態としてVDIに力を入れていく」としている。
「ビジネス部門の要求が急増し、IT部門に大きな負担がかかる」とし、従来のIT部門の処理能力を超える部分があっても、VMwareの製品がそれを補えると説明した。
具体的には、コンピューティングの抽象化につながらるサーバ仮想化、ネットワークの抽象化を実現するネットワークの仮想化、ストレージの抽象化を実施するSoftware-Defined Storageという3つの要素が主軸になる。
三木氏は2014年に日本市場で注力することとして、顧客満足度の向上、“IT as a Service”の実現、パートナーエコシステムの拡大の3つを挙げた。
顧客満足度の向上では、Customer Advocacy専任チームの設置、テクニカルコミュニティの活性化などに取り組む。ユーザー会との連携も考えているという。IT as Serviceでは、コンサルティングサービスの強化や上流の視点からの顧客へのアドバイスに力を入れる。パートナーエコシステムでは、新たな分野でのパートナーを開拓するとしている。