京葉銀行は勘定系システムをオープン系で刷新することを決めた。2018年からの稼働を目指している。システムを構築する日立製作所が5月7日に発表した。
今回、京葉銀行が採用するパッケージは、現在、日立と静岡銀行が共同で開発を進めている。従来のメインフレームの信頼性を目指してオープン系製品を全面的に採用し、システム構築や運用コストの最適化、システムの機能追加、新商品開発の迅速化や高度化を目指す。
OSには「Red Hat Enterprise Linux」を採用する。ハードウェアでは垂直統合型システム製品の「BladeSymphony」、企業向けディスクアレイシステム「Hitachi Virtual Storage Platform」を活用。これらの上で業務アプリケーションを支援する金融フレームワークや金融向けにトランザクションを処理するための「uCosminexus TP1/Financial Service Platform」などのミドルウェアを組み合わせてシステムを構築する。
オープン系を活用することで、標準技術でシステムを開発できるため、システムの開発や人材調達、育成に必要となるコストの最適化を図れる。リソースを容易に拡張できるBladeSymphonyの採用で、規模拡張が可能という。
新勘定系システムはアーキテクチャを刷新する。“非戦略(標準化)領域”と“戦略実現領域”に分離して、新しい設計思想を基盤にした勘定系パッケージを構築する。
非戦略(標準化)領域では、預金や為替、融資といった銀行業務アプリケーションを日立が新たに開発して、「記帳決済系システム」として提供する。戦略実現領域では、顧客のニーズや取り引きの状況に応じた新商品開発の迅速化と営業体制の変革や チャネル拡充に柔軟に対応できる新機能を「バンキングハブシステム」として提供する。
バンキングハブシステムには、ほかのシステムと容易に接続できるゲートウェイ機能、投資信託や保険、証券などの外部商品と記帳決済系システムとの連携を制御する機能を配置する。戦略的な経営方針の策定や遂行に向けた柔軟性を向上させるという。
新しい勘定系システムはアプリケーションをコンポーネント化、パラメータ化する。個々の業務の特性や重要度にあわせた業務機能をシンプル化するとともに、各システムの役割にあった機能配置の最適化を図る。将来的にはほかの金融機関とアプリケーションを共通化、共有して、運用コストの削減も実現するという。