三菱東京UFJ銀行、災害対策サイトへ勘定系の全バッチ処理データを伝送

山田竜司 (編集部)

2014-05-14 11:18

 三菱東京UFJ銀行は災害対策の一環として、オラクルのテープ製品群を活用し、顧客口座約4000万の勘定系データの大量トランザクションから発生する勘定系の全バッチ処理データを災害対策サイトにデータ伝送している。オラクルが5月12日に発表した。

 ディスク装置上でテープドライブを仮想的に実行させる仮想テープ装置「StorageTek Virtual Storage Manager System」(StorageTek VSM)、外付けでディスク領域を拡張する「StorageTek Virtual Library Extension」 (StorageTek VLE)、テープライブラリ「StorageTek SL8500 Tape Library」(StorageTek SL8500)などを導入し、2013年6月より本格稼働しているという。

 三菱東京UFJ銀行はこれまで災害対策の一環として、データの外部施設への移送は、磁気テープをトラックで搬送してきた。処理時間や負荷の観点からシステムの復旧に必要不可欠なデータに限定して移送したほか、テープの現物移送にともなうオペレータの作業負荷も課題となっていた。

 また、東日本大震災を契機に、被災後の業務再開時間を短縮するニーズも高まっていた。2012年2月に課題解消に向けたプロジェクトを発足、メインセンターと災害対策センターへ統合集約する体制へと移行が進み、国内向けの預金や為替、融資、外為システムの移送対象データを全バッチデータへ拡大し、トラック搬送からネットワークを利用したデータ伝送に切り替えることを決定したという。

 三菱東京UFJ銀行は、主要拠点が被災した場合の目標復旧時間を短縮することと、磁気テープのトラック搬送にかかる作業負荷削減を最優先の要件に設定した。利用実績からオラクルのテープ製品群を選択StorageTek VSMとStorageTek SL8500に加え、災害対策センターにもStorageTek VSM、StorageTek VLM、StorageTek SL8500を新たに導入したという。センター間のデータ伝送はIPネットワークでのデータ転送が可能な「StorageTek Cross-TapePlex Replication」(CTR)機能を採用した。

 CTRのデータ伝送機能によって災害発生時のバッチ処理の目標復旧時間は短縮され、有事の際の顧客レベルを向上。コスト面では、自動ライブラリからのテープの取り出しや投入にかかる人件費と時間、さらに毎日約4時間を要したトラックによる磁気テープの搬送が全廃され、作業負荷が大幅に削減されたとしている。また、テープの破損や読取りミスなどのリスクがなくなったという。

 三菱東京UFJ銀行では海外システム業務への適用や、災害対策の高度化を進め勘定系以外のシステムにも適用することを検討しているという。

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