京都大学医学部付属病院はクラウドプリント環境を導入、4月から運用している。コニカミノルタとシスコシステムズが5月20日に発表した。
今回のクラウドプリント環境は、複雑な仮想環境を経由、あるいは仮想環境に依存することが好ましくないような状況でシステム上の制約を回避し、安全かつ簡単に印刷できるようにするものとして開発された。コニカミノルタの「INFO-Palette Cloud」サービスの基本技術を応用し、クラウド型仮想デスクトップ環境に対応する印刷環境となっている。
今回の印刷環境は、仮想環境とは独立した印刷の専用経路を設けている。そのため、仮想環境のシステムには影響を与えないという。コニカミノルタの印刷デバイスだけではなく、他の印刷デバイスにも対応可能であり、通常の印刷と同じ手順のため、利用者は特別な操作を意識する必要はないとしている。クラウドで印刷記録を一元的に管理できる。
京都大学医学部付属病院では、患者の個人情報保護などの目的で電子カルテとネットを分離した仮想デスクトップ環境となっており、院内の電子カルテ端末からネット閲覧は可能だが、その閲覧情報を印刷することは、システム上不可能となっていた。患者への説明補助にネット上の情報を見せられても、印刷して手渡すことができなかった。
2013年10月からの同病院での実証実験では、この複数の仮想デスクトップを経由した印刷に対し、仮想デスクトップ環境とは完全に独立した印刷経路を確立した。入札などで仮想デスクトップ環境が数年おきに変わる可能性のあるシステムでも影響を受けることのない独立性の高い印刷環境を実現しているという。
INFO-Palette Cloudのクラウドプリント機能を担う「bizhub essentials」は、PDFダイレクトプリントを用いることで、プリンタドライバを必要とせず、ドライバのアップデートからも解放されるとしている。
今回のシステムでは、ファイアウォールに守られた環境下で印刷を実行する専用経路を設ける形となっているため、私物端末の業務利用(BYOD)に対応するために社内の有線LANと無線LANを分離している環境など、複雑なネット環境を構築されているユーザーに向けた多くの応用例が見込まれるという。
今回のプリントサービスをベースにした「セキュアプリントGateWayソリューション」(仮称)として販売する方針を明らかにしている。
サービスの概要(コニカミノルタ提供)