マネージドプリントサービス市場、2016年まで15%成長--求められる差別化

田中好伸 (編集部)

2012-08-27 17:35

 IDC Japanは8月27日、国内のマネージドプリントサービス(Managed Print Services:MPS)市場の2011年実績と2016年までの予測を発表した。2011年の売上額は前年比19.3%増の295億2000万円。2011~2016年の年平均成長率(CAGR)は15.5%で推移、2016年の市場規模は607億6200万円と予測している。

 MPSは、企業のオフィス出力環境の現状を分析した上で、最適な出力環境を構築、その環境を継続的に維持、運用していくアウトソーシングサービス。MPS導入で出力環境に関する総所有コスト(TCO)の把握と削減、出力管理業務プロセスの効率化、環境負荷軽減といった効果を期待されている。欧米を中心に市場が大きく拡大しており、最近ではアジア太平洋地域でも高い成長を見せている。

図 2009~2016年の国内MPS市場売上額予測(2011年までは実績、2012年以降は予測。出典:IDC Japan)

 日本国内の複合機やプリンタ市場の拡大を期待することが難しくなっており、成長の可能性の高い、新しいビジネスモデルとして複合機やプリンタのベンダーがMPSを積極的に国内に展開している。厳しい経済状況の中で、全社レベルのコスト削減や業務効率化に対するニーズから、ユーザー企業もMPSに期待を寄せている。

 2012年の国内MPS市場は前年比15.9%増の342億500万円と予測。MPSへのユーザー企業の期待は継続し、ベンダーの積極展開も継続するという。多くのベンダーが注力する従業員規模1000~4999人の市場セグメントでの競争が激しくなり、この市場セグメントが活性化することで、国内MPS市場の成長をけん引すると予測している。IDC Japanの石田英次氏(ハードコピー・ペリフェラル&デジタルイメージングリサーチマネージャー)が以下のようにコメントしている。

 「国内で本格的なMPSが普及し始めてから数年が経過し、今後は各ベンダーに明確な差別化戦略が求められる。最適な出力環境を分析、提案するサービス設計力、運用を効率的に行い、常に最適な出力環境に保つサービス運用力がキーポイントになる」

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