帝国データバンクが先頃実施した調査によると、35%の企業が営業秘密の漏えい対策に取り組んでいないことがわかった。この数字は非常に深刻な問題と受け止めるべきだ。
企業の1割が過去に情報漏えいの疑いあり
帝国データバンクが9月11日に公表した「営業秘密に関する企業の意識調査」の結果によると、顧客情報や個人情報、製造ノウハウ、経営情報といった営業秘密の漏えい対策について、「取り組んでいない」と答えた企業が35.2%に上った。
この調査は、8月下旬に全国2万3533社を対象にアンケートを実施し、46.8%に当たる1万1023社から回答を得た。1万社を超える回答に基づく調査結果だけに、より実態を浮き彫りにしたものといえる。
同調査結果によると、営業秘密の漏えいが重要な課題であると回答した企業は82.3%と、問題意識の高さはうかがえた。しかし、35.2%の企業がその対策を講じていないことから、意識と実際の行動にギャップがある状況が浮き彫りになった格好だ。
過去5年間における営業秘密の漏えいの有無については、「なし」と答えた企業が75.8%、「あり」が1.7%、「疑われる事例あり」が7.8%、「わからない」が14.7%となった。「あり」および「疑われる事例あり」の回答を合わせると9.5%となり、およそ1割の企業が過去5年間で情報漏えいした疑いが高いことがわかった。
なお、この割合は、大企業の場合だと全体の平均より1.2ポイント高い10.7%に、金融業だけで見ると全体の平均より4.1ポイント高い13.6%になり、大企業および金融業のリスクの高さをうかがわせた。