東邦銀行は、多様化する金融サービスのタイムリーな提案とお客様ニーズへの迅速な対応を図るため、約1000台のタブレット端末と仮想デスクトップを組み合わせた仕組みを構築。2月から運用を開始し、渉外活動に活用している。
東邦銀行では、これまで渉外活動にハンディターミナルを用い、集金などの業務で受領証を印刷するなどしていた。一方、顧客との取引情報などは情報保護の観点から行内で厳重に管理しており、外出先で参照することができなかった。
渉外活動においては、担当者が事前に確認する情報のみが頼りとなり、迅速な対応や提案につながらないことが課題だったという。この課題を解消するため、2012年からタブレット端末および安全で効率的に顧客情報へアクセスできるシステムを計画、構築に乗り出した。
新たなモバイル環境では、端末に指紋認証をサポートした富士通の「ARROWS Tab」を採用、加えて端末にデータを残さない仮想デスクトップ技術としてシトリックス・システムズの「Citrix XenApp」を導入した。XenAppは画面情報だけを圧縮して送信するため、転送するデータ量が少なく、回線が遅くても実用的な処理速度を実現している点が評価されたという。
また、富士通のネットワークサービス「FUJITSU Managed Infrastructure Service FENICS II」により、外部からの不正なアクセスを遮断できる専用のネットワークを構築している。また、仮想デスクトップサービスを提供するためのサーバ群は銀行の施設内にあるシステムセンターに設置、仮想デスクトップサービス運用センターから24時間365日リモートによる運用・監視を行っている。
この新たな渉外支援システムでは、訪問先で必要な情報を閲覧でき、顧客の取引内容に応じた提案ができるようになった。また、パンフレットなどの内容は、タブレット端末の画面に表示して顧客に直接確認してもらったり、携帯用プリンタで出力することもできる。そして導入してから約半年で、渉外活動の訪問件数が1.5倍になったとのこと。
(シトリックス提供)
東邦銀行では、タブレットのさらなる活用として法人営業推進ツールの導入や申請業務ワークフロー構築などを検討しているという。また、ペーパーレス会議システムや人材育成・自己啓発ツールとしての活用も考えている。