IDC Japanは10月29日、2013年の国内モバイルセキュリティ市場規模実績と2018年までの予測を発表した。2013年の国内モバイルセキュリティ市場規模は58億円で、前年比成長率は25.8%となった。
また、同市場の2013年~2018年における年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は16.5%で、市場規模は2013年の58億円から2018年には123億円に拡大すると予測している。
国内モバイルセキュリティ市場 機能別売上予測: 2013年~2018年 2013年は実績値、2014年以降は予測(IDC提供)
モバイルセキュリティ市場は「モバイルアイデンティティ/アクセス管理」「モバイルセキュアコンテンツ/脅威管理」「モバイルセキュリティ/脆弱性管理」「その他モバイルセキュリティ」で構成される。2013年の同市場の売上額構成比では、マルウェア対策製品を含むモバイルセキュアコンテンツ/脅威管理が全体の6割超を占めている。
スマートフォンやタブレット端末を狙ったマルウェアが急増し、かつ手口も巧妙化しており、マルウェア対策を含むモバイルセキュアコンテンツ/脅威管理が市場拡大をけん引すると同社ではみている。
機能別にみると、2013年~2018年CAGRが最も高いと予測されるのがモバイルアイデンティティ/アクセス管理市場。市場規模は2013年の8億円から2018年には20億円へと拡大すると予測している。
同市場では、企業でのモバイル機器の利用拡大に伴い社外から社内リソースへのアクセスが増加し、モバイル機器における認証強化が求められていることから、ユーザー個人のIDとパスワードのみの固定パスワード認証と、ワンタイムパスワード認証やSSL証明書による認証、リスクベース認証などを組み合わせた多要素認証への需要がますます高まると同社ではみている。
また、モバイルセキュアコンテンツ/脅威管理市場の2013年~2018年のCAGRは16.4%と予測された。この市場では、コンシューマー市場でAndroid端末向けマルウェア対策製品の需要が拡大、法人市場ではモバイルデバイス管理の導入拡大とともにマルウェア対策への需要が高まっており、2013年の市場規模は前年比成長率25.3%の37億円となった。2018年には市場規模78億円と予測している。
IDCが2014年1月に実施したユーザー調査の結果では、モバイル機器導入時に4割以上の企業でセキュリティやコンプライアンスの課題があると回答している。企業は、モバイル機器を導入することで、社外からの社内リソースの利用やモバイル機器の盗難/紛失による情報漏えいといった課題を抱えるため、セキュリティ対策の強化やコンプライアンス対応強化が必要となってくる。
また企業では、クラウドやモビリティ、ソーシャルといった新しいテクノロジを活用した業務システムへの移行が進んでおり、特にタブレットの活用においては業務に特化した用途での利用が増えている。
同社ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの登坂恒夫氏は「ユーザー企業とベンダーは、モバイル機器の導入設計段階から、情報システム部門ばかりでなく、業務を遂行しているビジネス部門も巻き込んでセキュリティ対策の取り組みを行うべきである」とコメントしている。